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2025.01.27 政策研究

第18回 一般質問の作法とチェックポイント①「一般質問の作法」

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【一般質問の作法11】明確に質問する、型を覚えてから守・破・離へ
 ⼀般質問では、何を質問するのか、質問事項とその目的をはじめに、そして明確に伝えることが大切です。その次に、質問の具体的な内容(主張)をその理由、背景、データ等とともに構造的に示すことが有用です。まずは、この型を覚えて質問を実践することが⼤切です。このような基本型を覚え、繰り返し実践することで、一般質問の技術が「守・破・離」と向上します。
 近年は、議場内にモニターが設置されたり、資料が配布されたり、パネルを用いることのできる議会も増えています。それらを活⽤する意味でも箇条書きや図解(田中富雄 2015)を⽤いた質問は効果的です。質問者本⼈の質問内容の整理にも役⽴ち、再質問時のやり取りにも効果を発揮するはずです。
 なお、質問通告していても、どの程度詳しく回答を求めるかは質問者・答弁者の間であらかじめ明確にしておくべきであり、その行き違いがあると、場合によっては本会議が混乱(暫時休憩等)に陥ることがあります。

【一般質問の作法12】丁寧に伝える、大切なスピードとメリハリ、市民にも伝わるように、分かりやすい言葉で信頼を得る
 丁寧に伝えるということでは、話すスピードとメリハリも⼤切です。早⼝の質問では、執⾏部は聞き取れません。事前に質問のフルペーパーが執⾏部に届けられていたとしても、傍聴席やテレビ等の前の人には、全く分かりませんし、伝わりません。
 ⼀般質問は議会と⾏政だけのやり取りでないことを改めて認識する必要があります。両者の背景には市⺠がいることを忘れてはなりません。議会と⾏政が市⺠のためにきちんと議論し決定した上で実⾏し評価するのだから、それでいい、ということにはなりません。市⺠は、⾏政サービスの利⽤者という⾯を持ちますが、それだけではありません。議会や⾸⻑(⾏政)で構成される⾃治体政府をコントロールする政府の所有者としての⾯や、公共政策を含む政策を⾃ら実⾏する政策供給者としての⾯を持ちます。市⺠のこのような機能が適切に発揮されるためには、議会での質問と答弁の内容を市⺠が情報として把握していることが必要となります。
 そのためには、議員は分かりやすい言葉で簡潔に話す「レーザートーク」で、話を詰めていくことが重要です。もちろん、専門用語・外国語・略語・同音異義語はなるべく使わないようにし、使わざるをえない場合には必要最小限とし、従来から使われている言葉で補足することが求められます。そのことは、議員が市民や執行部から信頼を得ることにつながります。

【一般質問の作法13】礼儀正しい態度・⼝調で質問する、それが理性的な決定につながる
 質問する態度や⼝調があまりにも⾼圧的であると、答弁内容が、その場で議員の意向とは異なる方向に変更になることがあります。執⾏部は、議員の質問中にも、⾃分の答弁書を書き換えています。登壇しても、答弁しながら議員全員の反応を確かめつつ、次の⾔葉を選びます。なお、答弁中に議員からヤジが⾶ぶこともありますが、マイナス効果が⼤きいといわざるをえません。
 議会は、市⺠の信託に権限の源泉を持つ議会と⾸⻑(⾏政)が議論する神聖な場所です。⾃由闊達(かったつ)な議論は⼤切ですが、質問者、答弁者ともに礼儀正しい態度・口調で真摯な議論をすることが求められます。このような前提があって、初めて議会は実りある「議論のヒロバ」となり、理性的な決定も⾏いうるのです。

【一般質問の作法14】⼒を合わせる、謙虚な姿勢で、質問では人生観・世界観が反映される
 一般質問では、同⼀会派、別会派を問わず、2人・3人・4人と連携した連続型の質問を⾏うことが考えられます。連続型の質問を⾏うことで、論点・争点が深まります。そのためには、事前の議員間連携が必要となります。知ったかぶりの⾔葉(専⾨⽤語・外国語・略語など)を⽤いては、他の議員に発⾔の意図が伝わらないことが考えられます。⼀般質問の最中に、いわゆる⼤きな(高圧的な)態度をとることはもってのほかです。連携をとろうとした同僚議員が引いてしまうことでしょう。「一人ぼっち」の議員になってしまいます。
 言葉には、人の人間力が表出してきます。一般質問における質問・答弁にも、質問者・答弁者の人生観ないし世界観が反映してきます。人生観ないし世界観を踏まえた議員の真摯な取組み(一般質問等)が、同僚議員や行政、さらには市民の賛同を得ることにつながります。
 なお、「通告書段階の一般質問を議員全員で検討する機会」となる北海道別海町議会の「一般質問検討会議」については、その方法や評価が土山希美枝の論考に詳しく述べられています(土山 2021、土山 2022)。

【一般質問の作法15】執⾏部を軽視しない、執⾏部軽視は市民軽視である
 ⼀般質問において(委員会などにおいても⾒られますが)、⾃分の主張を延々と述べた後、その内容についての執⾏部の考え⽅は分かっているので答弁は求めないという発⾔をし(実際には議員の認識違いの場合もあります)、執⾏部の答弁を求めようとしないケースが⾒られます。しかし、このような発⾔は⼀⽅的すぎます。そもそも執⾏部が議会に出席しているのは、議会の要請に基づき一般質問に対して答弁する(議案については議案説明をする)ためであるということを忘れてはいけません。議会軽視ならぬ執⾏部軽視といわれてしまうでしょう。これは、議会と⾸⻑(⾏政)の双⽅に分業・協業で信託している市⺠を軽視しているということでもあります。議員にはこのような認識を持ち、行動することが求められます。

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