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2025.01.27 政策研究

第18回 一般質問の作法とチェックポイント①「一般質問の作法」

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【一般質問の作法2】⾸⻑の⼒を知る・議員自身の⼒を知る・粘る
 ⾸⻑は、有⼒会派の合意が得られないときは、本⼼がGOであってもGOとはいわないことがあります。部⻑も⾸⻑の同意が得られなければ、一般質問の答弁が組織としての答弁である以上、本⼼がGOであってもGOとはいえないということになります。そのような場合には、質問者も答弁者も結論を出さず、次回の質問機会まで結論を持ち越すことも一つの⽅策となります。議会と⾸⻑の⼒関係や首長と職員の⼒関係を知った上で、議員は質問することが大切です。あまりに過激な質問をすると、行政に無視されるばかりではなく、議会内で孤立することにもなりかねません。そこでは、当該議員が対行政(首長・職員)ないし対議会(議員・議会事務局職員)に対する自らの力量を知ることが必要となります。
 期待どおりの答弁がなされなかったときに求められるのは粘り腰です。では、粘るためにはどうしたらいいのでしょうか。答弁が、あまり積極的でないと思われる内容であっても、「積極的な答弁をいただき……」「前向きな答弁をいただき……」とした上で、前向きに取り組むことを行政に要請します。半年、1年と時間が経過することで、議会内の⼒関係や質問内容に関する執⾏部の⽅針が変化し、粘りが⽣き、質問の内容が実現することもあります。実現しなくとも、諦めずにブラッシュアップし、定期的に質問をすることも重要です。
 なお、首長にとっては、いつもダメ出しばかりしていると、その議員との関係が悪化する(こじれる)こともあるため、行政にとっては当たり障りのない別の質問で、議員にとっては大切な質問に対して、「良い回答」が行われる機会が出現することもあります。行政(首長・職員)は議会との関係を常に良くしたいと考えているからです。

【一般質問の作法3】慎重に良質な情報を多く集め・咀嚼(そしゃく)し・内省する
 「段取り⼋分、仕事二分」という言葉がありますが、⼀般質問においても事前準備が質問の成否を分けることになります。⾃治体議会では、まず地域に根差した政策議論が求められます。その上で質問に関する良質な情報をどれだけ多く集められるかが、良い質問をなしうるカギとなります。できれば当該⾃治体内の情報だけでなく、他の⾃治体や国・海外等の情報を幅広く参照し、それを⼗分に咀嚼して質問の内容を詰めておくことが求められます。はじめは、なるべく幅広く情報を集め、少しずつ質問のポイントを絞りながら深掘りしていくとよいでしょう。幅広くとらえておくことで、関連する課題や政策に気づきやすくなります。そうすることで、漏れのない、より深奥な質問をすることにつながります。このように議員には、慎重に良質な情報を多く集め・咀嚼し・内省することが、一般質問の作法として求められます。

【一般質問の作法4】現場を見て・市民と話し・市民の声を聴く、多面的で多様な方法を用いる
 一般質問をするには、現場を見ておくことが大切です。現場に行くことによって、市民等の利害関係者と会って直接話す機会(ダイレクトコミュニケーションの場)が増加することが期待できます。このことにより、誤解を避けるとともに、一般質問の内容をより適切にする可能性が高まります。例えば、直接会うことにより、視覚情報(話し手の表情、しぐさ、身振り手振り(ボディランゲージ)、高揚感)、聴覚情報(話し手の声の大きさやトーン、速さ、騒音の大きさ)、嗅覚情報(いい匂い、悪臭)、味覚情報(おいしい、まずい)、触覚情報(どのくらい凸凹している、平らである)など多くの情報が入ってきます。これらの情報は見えない・聞こえない、いわゆる〈「空気感」情報〉(例えば、いいたくともいえない雰囲気・忖度の空気)も感じ取ることに寄与するかもしれません。
 また、一般質問の内容をより市民のためのものとするには、様々な方策が考えられます。例えば、犬山市議会のように議場での市民意見提出の場を確保することがあります。このことは、議会・議員にとって、市民の視点を得ることができるとともに、市民である発言者にとっても、自分の考えを整理できたり、政治・行政等に関心を高める機会となるでしょう。ただし、この方法には、市民意見提出できる人数に限りがある、市民意見提出の時期が限られているという問題があります。
 市民意見(政策提言)を提出できる人数や時期が限られているという問題を克服するためには、政策提言サイトを活用することが考えられます。具体的には、〈市民がサイトへ意見提出→議会がその意見を検討する(必要な場合には、意見提出者へのヒアリングをする)→議会が検討結果により行動する(例えば、行政に要望書や意見書を提出する)〉ことです。この方法は、市民が気軽に意見提出できる機会となります。もちろん、サイトを利用することが苦手な人もいます。そのような場合には、手紙や口頭で市民意見(政策提言)を議会(議長)宛てに提出することができることを、議会だより等で周知することが大切です。
 自治体政府(議会・行政)は、市民のために存在しています。この目的を実現するためには、市民の意見を把握する方法を多面的で多様に組み合わせて用いることが必要であり、議員はそのことを認識することが求められます。
 

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