地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2024.12.25 政策研究

第57回 組織性(その3):資源

LINEで送る

情報資源の特徴

 情報という資源は、三ゲンと異なり、ゼロサム的な性質が乏しい。情報は、いくらでも複製・複写することができるからである。つまり、X部課に情報を配分することは、直ちに、Y部課に配分しないということを意味しない。あるいは、一般職員や係長などに情報を配分するということは、幹部・上層部に情報を配分しないということを、直ちには意味しない。情報資源を集中管理するためには、むしろ組織における管理監督の結果として、情報の複製・複写を制限することが必要になる。
 逆に、複製・複写が個々の職員の自由であることから、各職員あるいはX部課は、あえて複製・複写をせずに、保秘と情報統制に努めて、他者に情報を与えないこともある。この場合には、幹部・上層部も、Yなどの他部課も、X部課の持つ情報を知らないという事態が起き得る。情報の抱え込みである。情報は複製・複写が容易であるからといって、直ちに、組織内での情報共有が起きるわけではない。むしろ、組織全体の管理運営とは別途に、個々の職員や個々の部課の勝手な情報秘匿が可能ということである。実際、情報の複製・複写や共有には手間がかかるので、自然には情報は普及しない。
 表面的に情報を組織内で伝達・流通・共有させたとしても、組織内の多くの成員がそれを認知・処理するとは限らない。情報は大量充分であっても、情報処理能力や注意・注目(attention)には限度がある。その意味では、情報という資源ではなく、情報処理能力や注目という資源の配分が、ゼロサム的ではある。しかし、情報処理能力・注目という資源配分を全庁的に集中管理することは、容易ではない。情報処理能力・注目は、あくまで個々人の内部での資源配分であって、組織全体での資源配分はしにくいのである。
 それゆえに、限られた情報処理能力・注目を振り向けるべき情報、いわば情報処理されるべき情報(決定前提)を、個々人にどのように配分するかが重要になる。その意味で、情報は資源である。どの情報を誰に伝え、どの情報を誰に伝えないのか、という資源配分を全体調整することが必要である。しかし、全ての情報を把握した上で、情報資源を各部課間・個々人、上司部下間に配分するかを、集中決定することは困難である。そのような情報処理能力を持つ人間がいないからである(2)。それゆえ、三ゲンのように集中管理することが容易ではないのである。

この記事の著者

編集 者

今日は何の日?

2025年 425

衆議院選挙で社会党第一党となる(昭和22年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る