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2024.12.25 政策研究

第57回 組織性(その3):資源

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三ゲンの特徴

 人間・財源・権限の三ゲンに比べて、情報資源は捉えどころがなく、集中管理も容易ではない。人間・財源は、X部課に配分した場合には、Y部課には配分できない。いわば、ゼロサム的な関係にあり、総量一定を前提に、部課間で配分されるので、全体調整が可能になる。つまり、どの部課に重点を置き、どの部課にはそれほどの力点を置かないか、という相対的な政策衡量が可能になる。もちろん、自治体が組織的に管理する人間・財源の総量自体を増やすことは可能である。しかし、その総量を前提に、部課間・政策間の比較衡量と力点配分が可能なのである。なお、人間については、併任などで、同一職員が複数の部課の仕事をすることは可能であるが、結局、職員の中での仕事量の配分をしているだけである。
 権限も、基本的にはゼロサムである。X部課に権限を配分するということは、Y部課には権限を配分しない、ということである。もちろん、自治体としての組織全体の権限の総量を増減することができるのは、人間・財源と同じである。国の法令によって、新たな事務配分が得られれば、事務事業を所管する権限は拡大する。同様に、自治体自身が自ら事務事業を創設することはできる。
 自分で権限を創設・廃棄できる権限、つまり、「権限について決める権限(Kompetenz-Kompetenz)」を、日本の自治体は持っている。このような状態を、「一般権限性(general power of competence)」(1)あるいは「概括授権性」、「総合性」などと呼ぶこともある。そして、国の法令による授権、あるいは、自治体自身による授権(条例制定)によって、民間に対する自治体の権限を拡大することもできる。逆にいえば、自治体自身による授権の場合には、住民が自治体に対して、権限を付与したり、付与しなかったりすることができる。
 人間(人的資源)と同じく、権限(法的資源)も、複数の部課に配分するという共管事務はあり得る。また、しばしば、部課間での協議や合議又は合意を要する権限配分もある。その意味で、X部課に権限を割り付けたとしても、X部課のみで仕事ができるとは限らず、Y部課への合議などが必要になることはあろう。しかし、これもゼロサム配分であり、X部課とY部課とに権限を分有(シェア)していることになる。また、権限の場合には、水平的なX、Y部課間の配分だけではなく、職層上の垂直的な配分も重要である。これが、決裁規程などに基づく、いわゆる専決権の割り付けである。これも、通常は部下職員が起案して、一定範囲の上司に伺いを上げ、最終的には決裁権者の決裁を得るという、稟議(りんぎ)の仕組みが普通であり、決裁権者に100%の権限を配分しているわけではない。

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