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2024.12.25 政策研究

第17回 議案作成と議案審議─〈議案作成・議案審議〉の前提、議案のチェックポイント、議案審議後の対応策

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【ポイント18】事業の実施により、共通の価値実現に近づくか
 どのような事業にも位置付けられることが期待される価値、あるいは多くの事業に位置付けられることが期待される価値が、事業を実施することで実現されるでしょうか。少なくとも、そのような価値の実現を阻害するような事業であってはなりません。
 どのような事業にも位置付けられることが期待される共通の価値や、多くの事業に位置付けられることが期待される価値としては、例えば、基本的⼈権(自由・平等・公平・幸福追求等)、持続可能性、ノーマライゼーション、安⼼、安全などを挙げることができます。

【ポイント19】幅を広げて考えているか・対応しているか
 議案は幅を広げて考えることが重要です。基準を上下させて適正な水準を把握することが求められます。しかしながら、既存の法令に違反した基準(=政策)では混乱が生じます。そこで、それでも「我がまちを良くする」ために必要なときや、市民のために必要なときには、執行部とも連携・協力して、上乗せ条例ないし横出し条例の制定や、関係機関への法改正要求を行うことが重要です。

【ポイント20】AIが自動でチャットに対応するサービスを活用しているか
 AIが自動でチャットに対応するサービスを活用しているでしょうか。慣れてくれば、議案作成・議案審議にかかる時間や労力を短縮することが可能になります。このサービスを上手に利用することで、議案作成・議案審議を効率的に進めることができます。人が気づかない情報を提案してくれることもあり、多様な視点での議論につながります。
 ただし、このサービスを利用する際には、全てを任せきりにすると必ず誤った議案作成・議案審議になってしまいます。活用するにしても、議員自らが主体的に現地に足を運んだり、関係者とコミュニケーションをとり、熟考することがまずは必要なことです。

【ポイント21】議案のブラッシュアップをしているか、分かりやすさ・資料等
 議案を作成したり、審議するときには、議案の内容がなるべく分かりやすい言葉で表現されているかを確認することが求められます。必要に応じて、一覧表や地図などの資料や参考資料を添付することも大切です。
 また、議案が条例であれば、その施行開始時期や見直しの時期、終了(サンセット)時期の必要性を判断することが求められます。さらに、地理的な適用範囲や水準的な適用範囲を判断することも必要になります。

議案審議後の対応策!

 ここからは、議案審議後の対応策として「求められるチェック票の様式化」「議会内の顕彰、褒賞への参加・応募、パブリシティ」「残された課題の共有・対応」の3項目について考えます。

【ポイント1】求められるチェックリストの様式化
 ここでは、「議案のチェックポイント!」を活用し、より効果的に事業(政策)のチェックをするためには、「私たちの議会が使用するチェックリスト(仮称)」を議員全員で市民とともに作成し、様式化しておくことが期待されます。例えば、様式化したチェックリストは議会として分かりやすく統一しておくこと(例えば、左欄にチェック項目、右欄にチェックした内容(結果))が求められます。様式化の際には、執行部の意見をあらかじめ聴くことも有効です。
 また、市民や執行部にも様式を公表しておくことで、効率的で効果的な話し合いの可能性が高まります。様式をつくると「モレがなく」管理することもできます。
 なお、本稿では議案作成と議案審議について取り上げてきましたが、議案には条例や予算など様々な政策が含まれています。

【ポイント2】議会内の顕彰、褒賞への参加・応募、パブリシティ
 自治体関係者(市民・議員・首長・職員等)や専門家の投票や話し合いで「ベスト条例、ベスト事業(ソフト・ハード)」を選ぶことも、議会ないし議員の活性化に役立ちます。それらを、議会だよりやホームページに掲載することやパブリシティでマスコミ等に情報提供することは、議会のPRに役立ち、議会不要論が消え去る一助になるかもしれません。市民にとっては自治体政府関係者(議員・首長・職員等)に対する信頼が高まり、自治体政府関係者にとっては励みになります。
 また、マニフェスト大賞など他者が実施する褒賞に応募することも考えられます。そうすることで、他の自治体の優れた取組みに出合い、視野が広がり、当該自治体の政策がより進展することになります。

【ポイント3】残された課題の共有・対応
 議会が、議案作成・議案審議の前提、議案のチェックポイント、議案審議後の対応策について、〈現況・残された課題・将来展望〉を市民・執行機関と共有し、連携・協力することは重要なことです。

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