2024.12.10 議会改革
【セミナーレポート】地方議会活性化シンポジウム2024「多様な人材が参画する地方議会の実現へのアプローチ~課題への取組事例から考える~」
パネルディスカッション2:多様な人材の参画に係る課題に対する取組事例
休憩を挟み、パネルディスカッション2「多様な人材の参画に係る課題に対する取組事例」が行われました。
辻󠄀陽氏(近畿大学法学部教授)をコーディネーターとし、パネリストとして赤嶺奈津江氏(沖縄県南風原町議会議長)、澤部慶氏(茨城県取手市議会事務局次長)、中村清香氏(熊本県熊本市議会局次長)の3名がそれぞれのテーマに沿った事例を紹介しました。
まずコーディネーターの辻氏が、導入として足立区議会の子育てと議員活動の両立支援事例、及び古庄和秀氏(障害者の自立と政治参加をすすめるネットワーク事務局長)への障害当事者議員に対する合理的配慮に関するインタビュー動画を紹介した後、赤嶺氏から、「開かれた議会を目指し 議会改革の取り組み」と題する報告がありました。赤嶺氏は、自身の選挙活動や、当選後に議員活動と育児の両立を実現することができた環境を振り返り、多様な人材が活動しやすくなるためには環境を整備することが大切であると述べていました。また、「生活の安定がないと議員は続けられない」という現状について話し、これからの地方議員への支援制度への期待を述べるなどし、報告は終了しました。
次に取手市議会事務局の澤部氏より報告がありました。澤部氏は、コロナ禍以降の取手市議会におけるオンライン化の経緯について報告をしました。令和6年に至っては、取手市議会の委員会において、ほぼ全ての議事がオンラインで完結可能になったことなどの成果を述べました。
澤部氏は、今後オンライン化に取り組む余地がある場として、議会内の各種会議や、行政視察、住民参画を挙げました。また、オンライン化への向き合い方として、「オンラインか対面か」という二者択一ではなく、オンラインを選択肢の一つとして活用していくことが重要であり、それが多様な参画を含む新たな未来の可能性を開いていくのではないかと報告を締めました。
最後に中村氏から、熊本市議会における合理的配慮の事例紹介について報告がありました。合理的配慮の事例は、大きく分けてハード面とソフト面に分類されるとして、ハード面では、議場など施設内における合理的配慮などが紹介されました。車いすの当事者である村上博議員が当選した後に、議場を車いすに配慮した形に修繕した事例でした。特に、車いすの方でも演台に登壇できるよう、演台を昇降式の高さ調節をできるようにしたことで、身長に合わせて演台の高さを調節することができるようになり、車いすの方でなくても便利になったという報告が印象的でした。
ソフト面としては、議会運営における配慮や、視察・出張における介助者の旅費支給、災害時に車いすの議員を直ちに避難できる庁舎自衛防災消防隊「車いす対応班」の設置などが挙げられました。報告の最後には村上議員へのインタビューVTRがあり、各事例報告は終了しました。
最後に、辻氏からシンポジウムの趣旨を踏まえた、各パネリストへの質問や、コメントの発表があり、閉会となりました。