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2024.11.25 政策研究

第56回 組織性(その2):破綻・再生

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日本における「暗黙の政府保証」制度

 日本の自治体の地方債の場合には、貸し手は公的資金と民間資金である。民間資金は、市場公募資金と銀行等引受資金である。公的資金は、財政融資資金と地方公共団体金融機構資金がある。財政融資資金は、財務省が財政投融資特別会計において国債を発行して資金調達したものであり、地方公共団体金融機構資金は、すべての都道府県市区町村等が共同で設立した機構が市場で調達した資金である。公的資金の最終出所は市場・民間主体であるが、直接の貸し手は国又は機構である。財政融資資金の場合には、暗黙の保証をする主体と、暗黙の保証をされる客体とが、いわば利益一体である。それ以外の場合にも、財務省とその保護業界である金融機関が、農林水産省とその保護業界である農林金融機関が、総務省とその保護業界である自治体全体(地方公共団体金融機構)が、利益一体となる。
 最終的には、地方財政健全化法(「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」)という形で、つまり、破綻法制は導入しないことで、破綻法制論は収束した(2007年6月公布、2009年4月全面施行)(6)。地方財政健全化法は、「住民負担型暗黙の政府保証」を継続し、貸し手責任は追及せず、債権を全額保証する運用方針である。少なくとも債務調整の法規定がない以上、債権回収を保証することになる。そのために、破綻状態に至ったときには再生計画を策定させ、住民サービスを削減することによって、債務を確実に返済させる計画とした。ただし、毎年度のサービス削減を抑えるために、再生期間を長期に設定することもあり得る。そして、ひとたび破綻をすると返済負担が長期に及ぶため、そのような事態に至らないように、早期健全化という形で国は事前介入する。つまり、「住民負担型暗黙の政府保証」として、早期健全化に向けた制度を課すことになった。従前の事前介入は、個別の地方債許可制であったが、新たな事前介入は、総合的な数値目標による早期健全化措置制度である。

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