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2024.11.25 議会運営

第95回 会派と無会派議員の議会における取扱い

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 なお、国会においては、1人会派は議会構成・議会運営上の会派として認められず、立法事務費の交付対象としてのみ1人会派が認められている。これは、そもそも会派は政策を同じくする集団という意味があることから最低2人以上であることが先述の参議院先例113でも述べられており、参議院先例113にはさらに議員の任期満了、辞職等により会派の所属議員が1名となったときは、その会派は解消するとされている。これに対し立法事務費については、国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律1条1項で、「ここにいう会派には、政治資金規正法……第6条第1項の規定による届出のあつた政治団体で議院におけるその所属議員が1人の場合を含む」と規定されており、立法事務費の交付対象としての1人会派を認めており、議会運営上の会派の規定に差異がある。  また、会派を結成するには、参議院先例114のとおり、議長への会派結成届出を必要としている。

参議院先例114】  
 議員が会派を結成したとき又は会派の所属議員に異動があったとき等は、議長に届け出る

 それゆえ、国会における議会の運営は、実質的に会派を単位として協議されることとなっている。
 次に、会派には交渉会派、非交渉会派という区分を設けることがある。
 交渉会派とは一般的に、議会の運営についての協議に参加できる資格となる会派の要件で、議会運営委員や代表質問等が割り当てられる会派の単位をいう。それに対し非交渉会派とは、会派としての要件を満たしていても議会の運営についての協議に参加できる資格を有していない会派のことをいう。
 交渉会派の必要性は、会派間や議員間における議会運営の調整を行うことを目的として、議会運営を円滑にするため又は議長の諮問機関としての役割等を果たすために設置する議会運営委員を割り当てられるかどうかであり、議会運営の円滑化のため等において重要性を有する議会運営委員会申し合わせ等の協議に参加できるかどうかに影響を与えるものである。
 地方議会における交渉会派の要件をどのようにするかは法律上の規定が存在しないため、自由に規定できるが、一般的には3人以上と規定することが多いように見受けられる。
 なお参議院では、院内交渉会派として、所属議員10人以上の会派に議院運営についての協議に参加できる議院運営委員が割り当てられることとしており、院内交渉会派と呼んでいる。
 また、交渉会派であるかどうかで代表質問の有無の判別をするなど、監視機能の行使においても影響を及ぼすことがある。
 ここで問題となるのは、交渉会派の要件を高くすると、議会運営委員会決定の効力に影響を及ぼすことがあり、反対に要件を著しく緩和すると、少数会派が多数生まれ、そのため多数会派が議会運営委員会における自己の会派の委員数を多くすべきであると主張し、議会運営委員定数問題をめぐって論争が起きる可能性が高くなることがあるので留意する必要があるといえる。
 最後に、非交渉会派や1人会派、無会派議員は、一般的に議会運営委員会委員に当該団体より委員を選出することができないため、議会運営委員会の決定や協議に自らの考えや意見を反映することができないこととなってしまうこととなり、フラストレーションがたまり、場合によっては議会運営委員会申し合わせ等を遵守しないことにつながることがある。
 その解決策としては、非交渉会派又は無会派議員を一つの団体とみなし、当該団体より標準市議会会議規則117条における委員外議員の制度を活用し、適切な人数を当該委員会において参加させ、そこで意見を述べる機会を与えることが適当であると考える。また委員外議員としても参加することができない議員には、議会運営委員会の開催日を必ず連絡するなど傍聴の機会を確保することも重要である。

標準市議会会議規則117条
① 委員会は、審査又は調査中の事件について、必要があると認めるときは、委員でない議員(以下この条において「委員外議員という」。)に対し、その出席を求めて説明又は意見を聴くことができる。

 地方議会においては、会派は議会構成・議会運営上、法的には規定されていないとはいえ、実質多くの議会で会派制が採用されている。会派を単位とした議会運営は円滑な議会運営に資されることが多いことから、議員が納得する運営に資されるような取扱いを心がけるべきであると考える。

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