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2024.10.25 政策研究

第55回 組織性(その1):設立・解散

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自治体廃止と法人解散

 社団法人・財団法人や営利法人は解散又は破産することがあり得る。例えば、株式会社の解散手続は、①株主総会での解散決議→②解散・清算人就任の登記→③財産目録と貸借対照表の作成・承認→④債権者保護手続→⑤解散事業年度の確定申告書の提出→⑥資産の現金化、債務弁済、残余財産の確定・分配→⑦清算確定申告書の提出→⑧決算報告書の作成・承認、という手続である。端的には株主総会で決議すれば、あとは金銭面の事後処理(清算)にすぎない。
 一般社団法人の解散事由には、①定款で定めた存続期間の満了、②定款で定めた解散の事由の発生、③社員総会の特別決議、④社員が欠けたこと、⑤合併、⑥破産手続開始の決定、⑦解散命令又は解散裁判、が法定されている。組織の主体的な解散の可能性という、ここでの議論で重要なことは、③によって、社員総会で決議をすれば解散できることである。人間の集まりである社団であるから、集まった人間が自分たちで解散を決めれば、解散できるのは自然である。
 一般財団法人の解散事由は、①定款で定めた存続期間の満了、②定款で定めた解散の事由の発生、③基本財産の滅失その他の事由による一般財団法人の目的である事業の成功の不能、④合併、⑤破産手続開始の決定、⑥解散命令・解散判決、⑦ある事業年度及びその翌事業年度に係る貸借対照表上の純資産額がいずれも300万円未満となった場合は、その翌事業年度に関する定時評議員会の終結のとき、⑧新設合併により設立する一般財団法人についても法人成立の日とその新設合併をした事業年度の貸借対照表上の純資産額がいずれも300万円未満となった場合は、その事業年度に関する定時評議員会の終結のとき、である。①、②、④、⑤、⑥、⑦は一般社団法人と似ているが、重要な③が異なっている。つまり、一般財団法人は、一般社団法人のように法人を設立した後に法人の機関の意思決定によって自主的に解散することはできない(5)
 日本の自治体の場合にも、廃置分合の一種として廃止があり得る。しかし、区域の無重無漏(MECE)を暗黙の前提とすれば、ある自治体が廃止される場合、その区域は別の同層(レベル)の自治体の区域になるしかなく、それゆえ、廃止には、設置又は合併・境界変更が一体不可分である(6)。その意味で、当該組織自身の意思決定で、それまで法人が有していた資源が清算され、社会一般に資源が解放されるという純然たる廃止は、自治体に存在しない。この点では、自治体は株式会社・一般社団法人とは異なっている。むしろ、自ら解散できないという意味では、一般財団法人に近いといえよう。しかし、一般財団法人は財産の塊であるから、当該法人の機関の意思決定に関わりなく、財産(純資産)が失われれば解散又は破産させられる。自治体は、為政権力の塊であり、財産の塊ではないから、そもそも純資産で正負という判別基準もない(7)。そのため、強制的又は自動的に解散させられることもない。

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