2024.09.25 政策研究
第14回 選挙と議会・議員
選挙と政治改革・社会改革
政治改革について、三浦まりは、「変えるべきは現在の権力構造であり、それが男性化していることが問題なのだ。だからこそ、『男性政治』の構造、機能、作用を解明し、どうしたら変革できるかの戦略を練る必要がある」。「ここでいう男性政治とは、男性だけで営まれ、新規メンバーも基本的には男性だけが迎え入れられ、それを当たり前だと感じる政治のあり方である。健康で、異性愛で、ケア責任を免れていることが参入の条件となる」。しかし、「ジェンダー平等で多様性のある政治の実現に向けて、男性政治を壊す女性議員が増えていけば、女性も、男性も、マイノリティも、あらゆる人が自由で生きやすい社会になっていくだろう」と述べています(三浦 2023:ⅰ-ⅱ)。このような問題の打開のためには、パリテ(同数、均等)が求められます(三浦 2023:209)。
パリテが効果的に機能を発揮するための社会改革は、広く社会でのジェンダーギャップを解消することです。そのためには、一つは「広く女性の活動分野を広げる」ことが必要です。ここにいう活動分野には、議員活動のほかにも、町内会など近隣社会の活動、審議会・委員会・モニターといった議会や行政に関わる活動、会社員や公務員といった職業活動など様々な領域の活動が含まれています。いま一つは、「広く女性のリーダーを増やす」ことです。ここにいうリーダーには、町内会における町内会長などの役職者、審議会・委員会等の会長や委員長、会社のトップ・取締役・管理職等、自治体政府〈議会・行政〉におけるトップ(議長・首長)や役職者(副議長・委員長・管理職)などが含まれます。
選挙の限界
地域の課題とその解決の⽅策について、選挙だけで市⺠の意思を確認することは困難です。選挙には、様々な限界があるからです(表2参照)。しかし、選挙にこのような限界があっても、政治家は政策を決定しなければなりません。そして、決定に当たっては、社会の分断を引き起こすことのないようにすることが求められます。
出典:筆者作成
表2 選挙の限界