2024.09.25 政策研究
第14回 選挙と議会・議員
選挙と政治
前・明石市長の泉房穂は、「どんな選挙をしたか」と「どんな政治をしているか」は深くつながっており、“政党”や“業界団体”に担がれて選挙をやれば、そちらを向いた政治になり、市民とともに選挙をやって勝ち切れば、「市民のための政治」が可能になるといっています(泉 2023:16)。泉の主張はもっともなことですが、市民の環境と立場が多様であるところに難しさがあります。ただし、多様であるところに可能性があるともいえるのではないでしょうか。
では、多様である中で、市民が求める安定を確保するには、どうしたらいいのでしょうか。一つの方法は、納得していない市民を大切にすることです。たとえ市民満足度が高くても、納得していない市民の声は政治家にとって重要です。政府の存在意義を弱者救済であるとするならば、政治家には、納得していない「弱者である市民の救済・説得」や、納得していない「強者である市民の負担説得」が求められるからです。このような納得していない市民と話し合いをする中で、政治家の存在意義が一層明らかになっていくのではないでしょうか。そして、政治家には、想像力による“やさしさ”と、本質を見抜く“かしこさ”と、組織力を活かす“強さ”が求められることを認識するはずです。
選挙における「ビジョンの共知状況」「イメージ戦略の有無」と「自治体の状態」
選挙で連携・協力するには、ビジョンをお互いに知っていることが前提条件となります。必ずしもビジョンが共通でなくとも、ビジョンを「共知」していることで連携・協力の可能性が出てきます。選挙では、候補者がイメージ戦略を用いることが一般的ですが、イメージ先行ではない適度なイメージ戦略が求められます。中身のないイメージ選挙(情報の非対称性がある選挙)となっては、市民にとって困りものです(表1参照)。
出典:筆者作成
表1 選挙における「ビジョンの共知状況」「イメージ戦略の有無」と「自治体の状態」