2024.08.26 政策研究
第13回 間接民主制としての自治体議会
市民と議会にとって「議会だより」は双方向コミュニケーションの媒体
市民と議会にとってのコミュニケーションの場である、議会(本会議、運営委員会、常任委員会、特別委員会、代表者会議、全員協議会等)や議会報告会・意見交換会等での話し合いは、市民と議会の政治的力量を向上させます。そして、「議会だより」は、これらの場の事前・事後の双方向コミュニケーションの媒体となります。
近年では、議員別の審議結果がホームページや議会だよりで公表されている議会が増えましたが、公表されていても議案名と賛否だけに限られていて、議案の概要や賛否の理由が載っていないものも少なくありません。詳しい内容は、ホームページや一定の場所(議会図書室、一般の図書館、市民センター等)で公表すればよいとしても、「議会だより」にも一定程度、全体が分かる内容が掲載されている必要があるのではないでしょうか。そうでなければ、「議会だより」は双方向コミュニケーションの媒体となりえません。
「聞くだけの議会・議員」といわれないように「議会だより」でも頑張る
議会・議員活動がしっかりしていないと、市民から「議会・議員は聞くだけ」「聞くだけの議会・議員」と思われてしまいます。そう思われないためには、議会・議員は「市民にキチンと応答する」ことが求められます。キチンと応答するには、結論と結論に至る(場合によっては結論に至らない)経緯・理由・データ等をハッキリと示す必要があります。案件によってはできないことや、実施まで2~4年、さらには8年と時間がかかるものもありますが、「議会だより」でもそのことを市民に明確に示すことが大切です。都合のよいだけの「議会だより」では市民のためになりませんし、ひいては議会のためになりません。また、時間がかかる案件では、途中経過を「議会だより」で報告することも必要です。もちろん、「議会だより」に掲載した内容は、繰り返しであっても議会報告会ないし意見交換会においても周知することが求められます。
なお、意見交換会は、「自由参加型」と「団体型」に大別されます。そのうち「団体型」には、「自治会(地域)巡回型」「自治会(地域)立候補型」「特定目的団体巡回型」「特定目的立候補型」が考えられます。また、議論のテーマについては、「特定テーマ」「自由テーマ」があります。
「議会報告会や意見交換会」(以下「意見交換会等」という)の実施率については、前出の「市議会の活動に関する実態調査結果:令和4年中」─「住民等の議会への参画」、及び「【第69回】町村議会実態調査結果の概要(令和5年7月1日現在)」)に掲載されています。また、意見交換会等を実施していても問題のある議会も見られます。そうすると自治体議会は、①「意見交換会等を実施し効果を発揮している議会」、②「意見交換会等を実施しているが効果を発揮していない・確認できない議会」(=意見交換会等を実施していても問題のある議会)、③「意見交換会等を実施していない議会」に大別できます。残念ながら②、③の議会も少なくないようです。②、③の議会には、①の議会に学び、自分の議会で試行錯誤することが求められています。市民もそのことを期待しているのではないでしょうか。
「議会だより」の応援団
「議会だより」の作成に当たり、議会サポーターの協力を得たり、高校生・大学生・専門学校生等と連携している議会もあります。このような議会では、それらの人々との話し合いの中で、「議会だより」の良しあしやその理由を把握したり、「議会だより」のための企画を一緒に検討しています。「議会だより」のデザインを依頼している議会もあります。また、「議会だより」を宅配したり自治体の公共施設(狭義の公共施設)に配置するだけでなく、駅や店舗(広義の公共施設)の協力を得て配布(配置)している議会も少なくありません。このように、「議会だより」という政策過程(課題抽出、選択肢作成、決定、実施、評価)には、様々な応援団が関係しています。あなたの議会の「議会だより」には、どのような応援団がついていますか。
近年では、秋田県横手市議会の「議会だよりモニター会議」が知られています(横手市議会ホームページ「議会だよりモニター会議を実施しました」)。なお、北海道芽室町議会には芽室町議会モニター設置規程があり、令和5年度「議会モニター制度」の基本的な考え方の下、制度を運用しています(芽室町議会ホームページ「令和5年度『議会モニター制度』の基本的な考え方」「芽室町議会モニター設置規程」)。こちらは、「議会だより」に限らず、広く議会に関する制度となっています。