2024.07.25 政策研究
第12回 直接民主制と間接民主制
議員や被選挙人には人の気持ちが分かることが必要
ところで、人の気持ちを知ることは簡単ではありません。貧困家庭に育った者の悩みは、裕福な家庭に育った者には、分かりづらいかもしれません。一方で、裕福な家庭に育った者の悩みは、貧困家庭に育った者には分かりづらいかもしれません。ときに、人は「外見では笑顔でも、心は泣いている」ことがあります。さらに、私たちを取り囲む社会では、政治に限ってみても図2のように政策が実施され環境が変容しています。このことは、政治に限らず、人々の暮らす社会のあらゆることに当てはまります。人々は、このような複雑な社会の中で暮らしています。
出典:加藤(2019:201)
図2 加藤秀治郎の政治体系
そのため、間接民主制を担う議員には、様々な自己啓発や様々な機会を経験することで、有権者をはじめとして市民の気持ちを把握し学び、「他者の発見」と「自己の変容」をすることが求められます。その上で、当該自治体政府(議会・行政)には、家庭・近隣社会・学校・勤務先・他の自治体政府・国・国際機構などの他者と連携・協力・制御し合いながら、当事者を含めた市民との関係を築くことが重要となります(表3参照)。
なお、議員の忙しさを軽減するためには、誰にでも取り組める方法として、①隙間時間の活用、②議会・委員会・会派等の組織の活用、③議会(事務)局職員の活用、④議会図書室の活用、⑤執行部職員の活用、⑥(一般)図書館の活用、⑦専門的知見(研究者・専門家・他議会の議員)の活用があります。活用できるのに未活用のものはないでしょうか。
出典:筆者作成
表3 議員・議会に求められる「自己啓発の内容」と「家庭・近隣社会・学校・勤務先・他の自治体政府・国・国際機構等との連携・協力・制御の内容」