最初にお断りしておきたいが、筆者は一般質問が議会に不要だとは思っていない。だが、議長に議事運営上の助言をする立場の議会局職員だったからこそ客観的に見えたところもあり、一般質問に対する評価を問われれば、世間のイメージと議会としての実質との乖離(かいり)が最も大きい議事日程だと答えることになる。
一般質問のイメージと現実
世間では、質問回数が議員としての活動量を評価する基準として持ち出されるように、まるで議会、議員の仕事=一般質問と思われているかのようである(1)。
だが、法的に考察すれば、一般質問は、標準会議規則に倣って各議会が任意に会議規則等に定めを置いて行っているものにすぎず、地方自治法で実施が義務付けられている制度ではない。つまり、一般的には議会の中心的議事日程と思われがちであるが、法的には一般質問を実施しない議会もあり得るのである。地方自治法96条で議決が義務付けられていることなどと比較衡量し、立法者の意思を推察すれば、実施しなくとも根幹的には議会の権能に影響はないと考えられたのではないだろうか。 それは、一般質問が議員個人の意思表明の場であり、議事機関としての意思とは無関係だからであろう。地方自治法では、権限は議員個人ではなく機関としての議会にしか与えられておらず、議会の権能は、あくまで過半数の議員が合意した結果としての機関意思として発揮されるものであるからだ。
もちろん、一般質問が契機となって行政の現状が正されることや実現する施策もあり、その意義が全否定されるものではない。しかし、本会議における議案上程から採決に至るまでの一般的な議事日程は、いずれも議決機関としての権限を行使するためのプロセスである。それにもかかわらず、委員会審議よりも一般質問の会期日程の方が長いなど、議会の本務である議案審議よりも議員個人が行う一般質問に重きが置かれているのではないか、と思える議会の方が圧倒的に多いように感じられる。さらに議案審議に必須の質疑とは異なり、議案審議とは無関係な一般質問が、議案審議を主とする一連の議事日程に挟み込まれており、ともすれば議員も一般質問には注力するが、委員会審議では準備不足と思われることも少なくない。
地方自治法の立法趣旨に鑑みれば、どちらが重要かは明らかであり、少なくとも一般質問が「議会の華」だとの誤解が定着してしまったことは、議会にも責任があるといわざるを得ない。では、一般質問は機関としての議会にとって、どのようにあるべきなのだろうか?