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2024.06.25 政策研究

第11回 民主主義と議会⑥─「利他」「自他」

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「利他」「自他」の考えと健康生活

 様々なイベントでも日常においても、健康づくり運動が広がっています。そして、どんな運動でもそうであるように、また鎌田實がいうように、胸に落ちる、理解する、納得することは行動変容を起こす上で最も大事であり(鎌田 2023:1)、その意味でイベントの効用は、他者の行動を直接目にし、インパクトを与える/与えられることからも大きいといえます。イベントは主催者等にとってアウトリーチの場でもあります。なお、イベントに主体的に関わるには、自ら主催するものと、他者が主催するものに相乗りして行うものがあります。上手に多様なイベントの機会を活用することが求められます。
 健康生活については、健康寿命の延びにつながるような食品(表2参照)をとることが大切です。ただし、アレルギーの問題があることにより個人差があります。もちろん、おいしいからといって汁物や揚げ物等の過食による塩分・油分・エネルギー等の過剰摂取や、スタイルの行き過ぎた重視や心の不安定による粗食によって疾病が発生することがあります。この意味では、自己の心や体の特性・状況を知っておくことが求められます。家族や知人でも、このことを踏まえておくことが大切です。介護施設や高齢者施設では、もちろん、このようなことを踏まえ対応しています。
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出典:筆者作成
表2 健康寿命の延びにつながるような食品

 魚が苦手な人は「おでん」や「魚肉ソーセージ」「カニカマ(カニかまぼこ)」を利用したり、野菜が苦手な人は「かやくご飯」や野菜を小さく切ったり(すったり)して入れる「カレー」「シチュー」や野菜たっぷりの汁物をうまく使用することも大切です。なお、満腹のときには「残す」勇気も必要です。
 また、健康生活には、食生活だけではなく、身体を動かすこと(運動)も求められます。もちろん、過激な運動は逆効果を生起することがあることに留意することが大切です。しかしながら、少しでも身体を動かし筋肉をつけることは有意義であるといわれています。このことを鎌田は「貯『筋』」と呼び、筋肉をつけることを推奨しています。筋肉運動した後の30分以内は「貯筋」のゴールデンタイムであり、その間に卵・牛乳を食べると「貯筋」が効果的であるとしています。さらに、1時間に2分は立ち上がって運動することも良いといいます(鎌田 2023:122-123)。もちろん、太陽光を浴びることは、ビタミンDの体内生成に役立つといわれています。健康運動は、医療費削減に効果のあることが広く知られるようになってます。
 心(こころ)の生活も大切です。そのためには、「ゆっくりした音楽を聴く」(=リラックスタイムを楽しむ)、希望を持つ、笑う、腹式呼吸をする、胸式呼吸をする、楽しく生きる、社会とつながりを持つ、人生をおもしろがる、生きがいを持つ、趣味を持つ、本を読む、映画を見る、孤立しない、出かける、人に会う、小さな目標を持つ、人に親切にする、ペットを飼う、風景を楽しむ、自分で自分を褒める、等の実践が求められます。「つくり笑い」でもストレスは和らぐといわれています。
 自分が健康寿命を延ばせば、誰かのために自分の健康時間を使うことで人生はより豊かになります。回り回って自分も元気になれます。このことは、「利他」「自他」の考えに通底しているのではないかと思います。優しさやケアの気持ちが、他者や自己の心身を健やかに輝かせてくれます。そのためには、繰り返しますが、健康生活には、食生活だけでなく、身体を動かすこと(運動生活)、心(こころ)の生活が求められます(図4参照)。
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出典:筆者作成
図4 〈健康生活〉と〈食生活・運動生活・心の生活〉の関係

「利他」「自他」の考えと共感のジレンマ、ポジティブな共感は相手の立場に立つことから

 共感という言葉からは、通常、ポジティブなイメージを思い浮かべると思いますが、伊藤亜紗がいうように、共感はネガティブな効果をもたらすこともあります。なぜなら、「共感から利他が生まれる」という発想は、「共感を得られないと助けてもらえない」というプレッシャーにつながるからです。これでは、助けが必要な人はいつも相手に好かれるようにへつらっていなければならない、ということになってしまいます。それはあまりに窮屈で、不自由な社会です(伊藤 2021:31-32)。
 伊藤は以前、特別支援学校の廊下に「好かれる人になりましょう」という標語が書いてあって、愕然(がくぜん)とした経験を話しています。もしこの言葉が、「助けてもらうために」という前提を無意識に含んでいるのであれば、障がい者には自分の考えを堂々と述べたり、好きな服を着たり、好きなことをしたりする自由がないことになってしまうといいます(伊藤 2021:32)。
 このことからも分かるように、共感という言葉が通常のポジティブなイメージで用いられるためには、相手の立場に立つことが大切です。自治体議会(議員)も活動の全てにおいて相手の立場に立つことが必要です。そのため自治体議会(議員)には、落ち着き/平常心が求められます。落ち着き/平常心を備えるには、様々な経験が重要です。

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