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2024.06.25 政策研究

第11回 民主主義と議会⑥─「利他」「自他」

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「言論の自由」「対話・討論の文化」「政治・社会・経済・科学等の状況」により、「利他」「自他」に対する人々のとらえ方は異なる

 納富信留は、自由な思索と思われがちな哲学的思索も、深くそれぞれの社会に根ざしていることは明らかであるとしています。そして、古代ギリシャではポリス世界という政治・社会体制、及び民主政の発展が基本要因となり、貨幣経済の浸透という経済状況は価値観や世界観を変化させたとし、何よりも言論の自由と対話・討論の文化が哲学成立の基礎にあるといっています(納富 2022:18)。
 古代ギリシャの民主政は、今の日本の民主政とは異なり、奴隷制が容認されているなど人権が蹂躙(じゅうりん)されていました。このように、人々の考え方が言論の自由と対話・討論の文化、及び政治・社会・経済・科学等の状況により変容(変化、拡張、縮小)するとするならば、「利他」「自他」についての人々のとらえ方も、今とは異なったことでしょう。
 今の民主政(≒民主主義)をより良くし「利他」「自他」の考えを実現すること、「利他」「自他」の考えを通してより良き民主政(≒民主主義)を実現することが期待されます。このことは、民主政(≒民主主義)を自治体議会に置き換えても成り立ちます。すなわち、自治体議会をより良くし「利他」「自他」の考えを実現すること、そして「利他」「自他」の考えを通してより良き自治体議会を実現することが期待されます。

「利他」「自他」の考えと自然(植物・動物)/人工物

 「利他」「自他」の考えは、「人(ヒト)」の間だけで行っても、早期に限界が顕在化します。なぜなら、人と自然(植物・動物)の間でも、「利他」「自他」の考えが求められるからです。毒を持った植物・動物でも、ウイルスを含めて人との間で「利他」「自他」の考えが求められるからです。例えば、食物連鎖に見られるように、生態系の中で人や自然(植物・動物)は成り立っているからです。また、有毒なものが有益な薬になることもあるからです。
 近年、サル、シカ、クマ等が人里に出没し、害をもたらしているというニュースが多いように思われます。他方で、ジビエが少しずつではありますが注目され、料理店で食材として用いられたり、レトルト食品として販路を拡大しています。サル、シカ、クマが動物園等で子どもたちの歓喜に迎えられることは、多くの人が目にしているところです。人と同じく動物には善悪両面があり連関し合って生きています。極力、動物の発生状況をなだらかに整序するため、これまでにも表1に示すような政策を官民連携して、あるいはそれぞれに講じていますが、一層の知恵出しが求められます。
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出典:筆者作成
表1 サル、シカ、クマ等が人里に出没することへの政策と事例

 さらに、人は人工物もつくりますが、もともと自然の一部です。極力、自然に反しないことが大切です。特に、地球温暖化(地球沸騰化)のように、自然を不可逆的な状態にしてはなりません。地球温暖化は人工物というネガティブな科学の進歩による帰結です。地球温暖化は、「利他」「自他」の考えに反します。

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