(4)政策的視点③─当該一般事務に係る財源をいかに確保するか?─
自治体の一般事務の財源が公金であるといっても、当然ながら当該財源は無尽蔵というわけではない。
このことから必要となる視点が、「当該一般事務に係る財源をいかに確保するか?」である。
実務上は、この視点が欠けていると、執行機関から「議員のおっしゃることは十分理解できるところではありますが、財源確保の問題もあり、現段階では実現が困難な状況にございますので、執行機関として引き続き検討してまいる所存です」といった答弁がなされることになる。
この点については、予算書・決算書の分析が不可欠になるが、本稿の趣旨を超えるので別稿を期すこととしたい(その概要については、筆者が講師を務めた地方議員向けの「予算書・決算書の読み方」セミナー(第一法規主催、2023年8月18日実施)において述べさせていただいた)。
(5)法的視点─当該一般事務の執行は、法律(条例・規則等を含む)に従っているか?─
以上の政策的視点三つを合わせても、負けず劣らず重要なのが、「当該一般事務の執行は、法律(条例・規則等を含む)に従っているか?」という法的視点である。
そもそも、自治体の一般事務は、法律(条例・規則等を含む。以下同じ)にのっとって実施すべきこととされ、これは「法律による行政の原理」などと呼ばれるが、法律に従わない一般事務は違法であり、直ちに是正されなければならない。
よって、議員が、法律に従っていない一般事務があると考える場合に、一般質問等を通じてこれを指摘することは、それが望ましいというレベルではなく、むしろ義務であるといってもよいだろう。
かかる視点に基づく質問をするためには、関連する法律の知識と、法律的に物事を考える思考(法的思考)が求められることになり、前者については各議員が種々の文献等を通じて一般事務に関連する法律を地道に学んでいくほかないが、その際に有用なのが、関連法令を所管する中央官庁のウェブサイトに掲載される解説・マニュアル・Q&Aといった資料である。
後者については関連する文献等が少なく、効率的に法的思考を身につけるのは必ずしも容易ではないが、一つのツールとして、筆者が自治体職員のために執筆した『問題解決力があがる 自治体職員のための法的思考の身につけ方─課長、ウシガエルを薬殺したいという住民の方からお電話です!─』(第一法規、2022年)を挙げておく。