(2)政策的視点①─当該一般事務の執行が、住民の福祉の増進につながるのか?─
一般的にいって、質問というのは何らかの疑問があるからなされるものである。 幼児が、「これ何? あれ何?」と尋ねるのも質問だが、この手の質問は、自己の知識欲に基づくものであるといえる。
一方、議員による一般質問は、あくまで住民の代表として、住民全体のために行われるものであるから、議員個人の知識欲のための質問であってはならないのはもちろんのこと、自治体の一般事務に係る議員個人の関心事であっても、住民全体の関心事ではないと考えられる事項に関する質問であってはならないことになる。
そこでまず、一般質問に当たって最も重要と考えられる視点として挙げられるのが、「当該一般事務の執行が、住民の福祉の増進につながるのか?」というものである(地方自治法1条の2第1項参照)。
具体的な質問を組み立てるに当たっては、(ア)当該一般事務の執行が、一部の住民の利益にしかなっていないのではないか、(イ)住民全体の福祉の増進を目的とはしているものの、その政策的効果が希薄なのでないか、(ウ)費用対効果(地方自治法2条14項参照)の面で非効率的なのではないか、といった観点からの分析が求められるだろう。
(3)政策的視点②─当該一般事務に係る経費の支出は相当か?─
自治体の一般事務がいわゆる公金をもってなされている以上、関連経費の支出は適切に行われる必要がある。
そこで、「当該一般事務に係る経費の支出は相当か?」との視点が求められることになる。
この点については、「地方公共団体の経費は、その目的〔筆者注:究極目的は『住民の福祉の増進』〕を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない」とする地方財政法4条1項の規定を念頭に置くことになろう。