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2024.03.25 まちづくり・地域づくり

第5回 パネルディスカッション 住民自治を実現するシビックプライドの可能性(後編)

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シビックプライド政策を成功させるには

牧瀬 シビックプライド政策を成功させるためには、もちろん何をもって成功かという議論がありますが、具体的に何をすべきかについて意見交換をしていきたいと思います。
木村 自慢とか魅力というのは、他者の評価を伴うものですよね。例えば、私が今ここで「私イケメンでしょう」と臆面もなくいいにくいじゃないですか。それは皆さんがイケメンと思ってくれるかどうか自信が持てないからです。だから、魅力を伝えるとか、自慢するとか、価値を伝えるとかというのは、結構なNGワードであると思うのです。
 そうではなくて、少し硬い言葉ですけれど、「誇り」を伝えることはできると思うのです。私が何を誇りとしているかというのは、他人には関係ないことですから。私の価値でしかないわけです。だから、やはりシビックプライドという言葉は、非常に的を射ているというか、ぴんとくる言葉であると思います。
 地元の人々が地元のものをよく知り、地元の人間としてそれについてひそやかな誇りを持っているということが、どんどん積み上がってくればいいと思います。そのためには、自分たちの暮らしぶりをもう一度見つめ直して、どういうものを食べてきたのか、どういう暮らし方をしてきたのか、どういうなりわいをやってきたのか、そういうことを地元学などといったりしますが、そのようなものを政策と並行してやっていくことが大事であると思います。
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木村乃(関東学院大学法学部教授)

水本 私からは2点あります。1点目は、市民の主体的な活動を促すために、行政というのはやはり「for people」、市民のためにという考えで行政が何でもやるのではなく、「with people」という、市民と一緒にという考え方でまちづくりを進める必要があると思います。
 ヘルシンキ市の職員に話を聞いたことがありますが、まちづくりは行政だけでやってしまっては駄目だといっていました。
 また、シビックプライド政策における行政の役割に関して「エネーブラー」という言葉を紹介したいと思います。エネーブラーは「enabler」となります。エネーブルは物事を可能にするという意味で、エネーブラーというのは他者の行動に力を貸して能力を引き出すという意味があります。地域には市民だけではなく、企業、NPO、団体、学校、研究機関などの様々なプレーヤーがいます。行政の役割というのは、エネーブラーとして、様々なプレーヤーが連携して共創する状態をつくることだと思います。
 2点目は、大谷さんも、本村さんもおっしゃっていましたが、政策という観点でいうと、市民がまちを自分事化して、地域の魅力を発見して、そして共有して、実際に活動して、それを発信したくなるような仕組みをデザインすることが必要であると考えます。
 行政の役割としては、市民の活動を率先して支援すること、そして、市民の活動を地域外にも発信することが必要と考えます。地域外の人たちが市民の活動を知ることにより、共感が生まれて、その地域に行ってみたいとか、住んでみたいとか、応援したいというように、まちに関与するようになると、地域の人々のシビックプライドが喚起されて、地域の活動が活性化するという循環が生まれると思います。
関根 シビックプライドは、インナープロモーションの分野に含まれる取組みだとすると、シティプロモーションがマーケティングに基づいて行われるべきと考える場合に、重要なのは発信であると考えます。ターゲット設定をしっかりと行い、誰に何を伝えるのかを明確にしていくことが非常に大事だと思います。
 また、シビックプライドは特効薬ではなく、漢方薬のようにじわじわ長く効いていく政策だと思います。シビックプライドを成功させるためには、継続性が重要であり、それからターゲットを設定してマーケティング手法に基づいてきちんと行っていくことが求められると考えています。

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