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2024.03.25 政策研究

第8回 民主主義と議会③─中間団体とSNS、投票率、不信、議員・議会に求められるもの、政党(会派)、権力分立

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信用資源(信用も資源)、信用は政策や民主主義につながる、議会が信用されるためには!

 民主主義には、信用資源が必要です。社会においては、信用の有無が人や組織の活動に影響を与えます。信用資源が少ないと、他の政策資源(人・組織・財源・物品・不動産・権限・時間等)があっても政策を実現することが難しくなります。例えば、信用がつくまでは、財源があっても政策のスタートが遅れたり、スタートしたとしても十分な予算がつかないことになりやすいものです。また、必要な予算が確保されても実施の段階で調整に時間がかかってしまうということも知られています。これでは、市民のための民主主義も形だけのものになってしまいます。表7は「信用資源を有効に働かせるための条件」を整理したものです。
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出典:筆者作成
表7 信用資源を有効に働かせるための条件

 ところで、政府(議会・行政)は、事業を安易に統一化することがあります。市民・国民も、自治体行政や国の府省が決めたことだからといって、政府の決定に安易に従うことがあります。しかしながら、それでいいのでしょうか。市民・国民の立場は人によっても地域によっても異なります。このことは、認識が違って当然な状況にある人を一つの型に追い込むことになります。社会には交通弱者、買物弱者、医療弱者、情報弱者、IT弱者など、様々な弱者が存在しています。このことを忘れてはなりません。しかしながら往々にして、市民の持つ「諦め」「煩わしい感覚」「慣れ」の存在により、政府(議会・行政)が本来果たすべき機能を低下させ、ときには忘れてしまっているのではないでしょうか。
 また、一般的に信用を得る場合には、偏らないニュートラルな行動が求められます。ニュートラルな行動が信用を生みます。ニュートラルな行動は、全部を見ているから(俯瞰(ふかん)しているから)、正しく即座に(スピード感を持って)判断できることにもつながります。そして、率直であることが長続きのコツです。さらに、人の意見を聴く(訊(き)く)ことは、自分の意見(肯定・修正・取りやめ)を後押しする力になります。
 さらに、信用されるためには、ぶれないことが大事であり、そのためには多方面から多角的に、そして多様なことから、事実を仕入れることが必要です。私情を挟まずに事実に基づき判断することが求められます。そのためには、一歩一歩歩きながら、ときには立ち止まったり一歩後退しながら事実を確認し、市民に寄り添うことが大切です。
 例えば、議会の効果(存在意義)を発揮するためには、議会が一番信用のないところに行って、意見交換会・議会報告会や市民との勉強会・研究会・現地視察等のアウトリーチをすることが重要です。なぜなら、議会・議員の意見変容についても、篠原がいうように、「自己内対話」とも呼ばれる「情報過程(討議前の情報を仕入れる講義や現地視察のタイミング)」においての意見変容が、「討議過程」における意見変容よりも多くあること(篠原 2012:251-253)を前提にするならば、本会議・委員会における意見変容よりも意見交換会・議会報告会や市民との勉強会・研究会・現地視察等での意見変容の方が多いか、少なくとも意見交換会・議会報告会や市民との勉強会・研究会・現地視察等に相応の効果があることが予測されるからです。
 もちろん、本会議・委員会や公聴会において、関係者や一般の市民の声を聴き(訊き)ながら判断し決定することも重要ですが、前段の内容は考慮しなければならないでしょう。そのことを通して、議会・議員の理解者・支援者が、たとえ少しずつでも増えるのではないでしょうか。
 なお、議会の市民を守る立場からの政策判断の基本的事項(指針)として、「議会及び行政は、未知のことで危険が発生したり不利なことが生じうることを前提に政策を判断し、決定し、実施しなければならない」という項目を、議会基本条例に規定することが必要です。例えば、避難に関する条例や計画(国民保護条例、原発事故避難路計画、災害地避難路計画等)には危険が発生した場合に備えた方針・計画が位置付けられていますが、より広範な意味で〈自治体の未知による危険・危機を避ける意味で〉、このような規定が求められてくるのです。これらの内容について条例や計画に明記するのは、そのことにより、市民、議会、行政の一部(一部門)が作動し、危険・危機の発生や不利な状況を極力小さくできるからです。

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