2024.03.11 まちづくり・地域づくり
第4回 パネルディスカッション 住民自治を実現するシビックプライドの可能性(前編)
基調講演の感想
関根 株式会社船井総合研究所の地方創生支援部において経営コンサルティングをしています。シティプロモーション自治体等連絡協議会という団体の事務局長も担当しています。また、今年4月から関東学院大学大学院法学研究科に新設された地域創生専攻の第1期生として大学院にも通学しています。
シビックプライドの既存研究には、「定住意向」が高まるという結果があります。その観点で、これからのまちづくりにおいて、シビックプライドが非常に重要な要素と考えています。
両市長からの講演にもありましたが、「シビックプライドを誰に伝えていくのか」が非常に重要になると考えています。相模原市の話では、シビックプライド条例を活用し、年代だけではなく、どの地域の人にシビックプライドの要素を伝えていくかという話がありました。ひたちなか市の話では、市民がシビックプライドの発信者になると言及されていました。両市の話から、「伝える」、「伝わる」ということが、シビックプライドにおいては重要と捉えました。
水本 読売広告社都市生活研究所の水本と申します。読売広告社では、2016年から都市生活研究所においてシビックプライドの研究に加え、シティプロモーションの業務を担当しています。昨年度は、相模原市のシビックプライド向上計画策定委員会にも関わりました。
基調講演の感想としては、相模原市もひたちなか市も、シビックプライドを進めるために、地域資源をうまく活用し、市民を巻き込みながら、市民の顔が見える施策を実施している印象を持ちました。
木村 関東学院大学法学部地域創生学科教員の木村と申します。「インターナルマーケティング」という観点から、地域ブランドをどう構築するかについて、現場のまちづくりのお手伝いをしています。通常のマーケティングは、競争市場の中でいかに顧客満足を高めて支持を得るかということになりますが、インターナルマーケティングは、会社のメンバーがいかに当事者意識を持って能力を高めていくかという活動になります。つまり、普通のマーケティングは外側に向けて矢印が出ていますが、インターナルマーケティングは矢印が内側に向いているわけです。
この観点でいうと、相模原市の基調講演で言及された「住民は、実は市内のことをあまり知らないため、まずは住民に知ってもらう」、すなわちターゲットは域内にあるという指摘や、ひたちなか市の基調講演にあった「競争市場に必ずしも軸足を置くのではなく、情緒的価値を重視していこう」という説明は、私が研究として取り組んでいるインターナルマーケティングに非常に共通していると心強く思いました。