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2024.02.26 政策研究

第47回 固有性(その3):歴史

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地域史・地方史の固有性

 実際の自治体史は、近世又は近代以降の自治体という団体(人間集団・領域社団又は統治機構)を前提にしたものではなく、もっと時期を遡り、時間的に長いものである。そのため、現在の自治体に至る団体の変遷を、遡及的に記述したものではないことが普通である。通常、自治体史は、どういうわけか、石器又は縄文土器時代に遡るのが普通である。
 例えば、綾部市史は、編集者を綾部市史編さん委員会、発行所を綾部市役所として、上巻は1976年3月発行、下巻は1979年3月発行、資料編は1977年3月発行の自治体史である。その目次概要は以下のとおりである(7)


 【上巻】
 地理編
  第一章:地理的性質(位置・行政界・面積・人口)
  第二章:自然環境としての地域の性質
  第三章:気候の性質
 原始古代編
  第一章:縄文・弥生時代─村のはじまり
  第二章:古墳時代の郷土
  第三章:古代国家の成立と郷土
  第四章:律令制下の何鹿郡
  第五章:平安時代の何鹿郡
  第六章:古代の文化と伝承
 中世編
  第一章:鎌倉時代の丹波
  第二章:足利氏の登場と安国寺
  第三章:応仁・戦国の争乱と丹波の国人
  第四章:明智光秀の丹波平定
  第五章:中世の村落
  第六章:中世の文化
 近世編
  第一章:丹波統一幕藩制の成立展開 
  第二章:藩政の展開
  第三章:近世農村と人々の生活
  第四章:産業と交通の発達
  第五章:庶民の生活と文化
  第六章:幕藩体制の動揺と綾部
 各説編
  第一章:考古
  第二章:金石文
  第三章:庶民生活・民俗
 【下巻】
 明治編
  第一章:明治の政治と綾部
  第二章:産業経済の発達
  第三章:生活文化の変化
 大正・昭和編
  第一章:蚕都の成立
  第二章:昭和恐慌と綾部
  第三章:戦時下の生活
 戦後編
  第一章:戦後の社会変化と綾部市の成立
  第二章:綾部市の発展
 


 端的にいって、市史編さん段階での綾部市辺りの地域の通史となっている。そのため、大前提として、対象を確定する地理編が先にあり、その後は、その地理的範囲において、原始古代・中世・近世・明治・大正昭和・戦後という時期区分をしている。ただし、多くの自治体史と同様に、戦後編の分量は少ない。
 したがって、自治体史は、団体としての自治体の歴史ではなく、自治体が刊行する当該自治体に関わる特定の地域・地方(中央と対置して書かれるもの)の歴史である。つまり、書かれる又は編まれる対象ではなく、書く又は編む主体によって、定義されている(8)。例えば、安芸市も通史的な『安芸市史』を刊行しているが(9)、それとは別に、「安芸市立歴史民俗資料館」を持ち、「安芸の歴史」を提示する(10)。その中身はおおむね通史であり、古代・中世・近世・近代という流れで項目が分けられ、遺跡地図、安芸氏の繁栄、山内氏入国と五藤氏、山の恵みと安芸浦の繁栄、町・村の移り変わり、年表、文化財である。「繁栄」が2回も出てくるが、近代以降には出てこないことが興味深い。町・村の移り変わりは、上記のトーナメント表の形式である(11))。
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(出典:安芸市立歴史民俗資料館ウェブサイト「安芸市行政区画の変換」)

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