2024.02.13 まちづくり・地域づくり
第2回 相模原市長講演「みんなのシビックプライドの向上を目指して」概要
全国初のシビックプライド条例
相模原市は、南区、中央区、緑区の3区がありますが、3区とも顔が全く違います。南区は、相模の大凧(おおだこ)という日本一の大凧祭りを行っています。約1トン、畳128畳の凧を揚げるお祭りがある地域です。中央区には市役所、先ほどお話しした相模総合補給廠という米軍の基地、そしてJAXA相模原キャンパスがあります。緑区はリニア駅設置を見据えた新しいまちづくりが始まっていますが、実は区域の7割以上が山林です。平成の大合併で合併したのは、神奈川県では相模原市だけでした。
市内3区それぞれ顔が違い、合併した経緯もありますから、実は南区の人は緑区のことを知らない、緑区の人は南区のことを知らないということは結構あり、まず自分たちのまちのことをたくさん知ってもらいたいと思っていました。3区が、もっとお互いに交流し、自分たちのまちのよさを知っていこうよということで、検討委員会をつくりまして、条例に向けて諮問しました。
そして3年前、検討委員会から、市民みんなが理念を共有できる、具体的な指針や方向性がはっきりして分かりやすい、まちづくりに前向きな印象を与えることができるということから、条例の制定が必要だという答申を預かりました(図3)。
図3
皆さんは、自分たちのまちにどのような条例があるかをご存じでしょうか。おそらく、あまり知らないのではないかと思います。相模原市の「みんなのシビックプライド条例」は、72万市民、お子さんからシニア世代までみんなが相模原といえば「みんなのシビックプライド条例」があるよといっていただけるような、優しい言葉でつくりましょうということで進めてきました。
親しみやすく、市民目線で、そして市民にシビックプライドを押しつけてはいけませんから、押しつけにならない条例、それを市民と一緒につくるということをポイントにして進めてきました。
そして、2021年4月1日施行で、全国で初めて「さがみはらみんなのシビックプライド条例」が制定されました。当市のマスコットキャラクターは「さがみん」といいますが、「さがみはらみんなの」を略して「さがみん条例」と称し、うちのまちには「さがみん条例」があるよと宣伝していこうと進めています。
「さがみはらみんなのシビックプライド条例」は、非常に分かりやすい条文にしています。また、前文の端を縦に読むと「さがみはらファン シビックプライド」となるように、ちょっとおしゃれに担当者がつくってくれました(図4)。
図4
「さがみはらみんなのシビックプライド条例」は、先ほど述べたとおり強制するものではないということと、相模原市と関わりのあるみんなの思いを尊重して、みんなのシビックプライドを高めていくことを基本的な考えとしています。
シビックプライド条例の主な内容として特徴的なのは、「市長の責務」です。私にも責務が当てられているのです。「相模原市の魅力を発信する」ということで、毎日フェイスブックを上げています。また、いろいろな情報を市民の皆さんにプッシュ型で発信する取組みを進めています。
「市の責務」は、相模原市と関わりのあるみんなのシビックプライドを高める取組みを推進していくこと。また、市民と相模原ファンの役割として、相模原市の魅力の発見とその発信に努めることを定めています。例えば、市民の皆さんには、ラーメン食べるなら相模原だよね、といったことでもいいから発信してほしいという話をしています。
「計画」については、「市長は、相模原市と関わりのあるみんなのシビックプライドを高める取組を効果的かつ計画的に推進するための計画を定めます」とあります。そこで、向上計画の策定を進めてきました。公募市民、学生でシビックプライド向上計画策定委員会を設置し、計画を策定しました。条例は理念条例のような形ですから、どのように自治体が行動を起こしていくかということについて策定し、基本方針では相模原市に対する誇り、愛着及び共感を持ち、まちのために自ら関わっていこうとする気持ち、まさしくシビックプライドを持ったみんなを市内外に増やすための取組みをしますとしています。