2024.02.13 まちづくり・地域づくり
第2回 相模原市長講演「みんなのシビックプライドの向上を目指して」概要
相模原市の三つのポテンシャル
相模原市の一つ目のポテンシャルは、リニア中央新幹線です。2027年以降の開業を目標にして品川─名古屋間で供用を開始する予定です。神奈川県で唯一リニア新幹線が停車する駅として、降りたい駅にしていきたいと思います。
現在、橋本では13.7ヘクタールの土地区画整理事業と、5本の道路を新設しながら、3キロ離れた隣の相模原駅に、相模総合補給廠(ほきゅうしょう)という返還の部分と、首都圏南西部の広域交流拠点整備計画を進めています。
次に、JR相模原駅と隣の矢部駅も含めた214ヘクタール、2014年の一部返還後の現在は、196.7ヘクタールの相模総合補給廠の米軍基地があります。市内には米軍基地が三つあり、キャンプ座間の3分の2の土地は相模原市域ですし、相模総合補給廠、米軍住宅と三つの基地があります。
214ヘクタールのうちの17ヘクタールが2014年に返還され、このうち15ヘクタールの部分のまちづくりを展開していきたいと思っています(2ヘクタールについては、道路として供用開始済み)。どんなまちづくりをしていくかということについては、例えば、当市にはホームタウンチームとしてJ3のプロサッカーチームであるSC相模原、女子サッカーWEリーグのノジマステラ神奈川相模原、アメフトのノジマ相模原ライズ、ラグビーの三菱重工相模原ダイナボアーズなどのスポーツチームがあります。フットボール競技場をつくってほしいという要望も強くあり、今後のまちづくりの中で一つの案となっています。ここのまちづくりのビジョンをしっかり示していきながら、私たちもわくわくするまちづくりをしていきたいと思っています。
3番目のポテンシャルとして、JAXA相模原キャンパスを挙げたいと思います。皆さん、「はやぶさ」という映画、最近では「はやぶさ2」、2010年6月に帰還した「はやぶさ」と、様々なチャレンジをしてきて、映画にもなっているのはご存じだと思います。その「はやぶさ2」は、2020年にまた新たなドラマをつくりました。実は相模原に35年ぐらいJAXAキャンパスがあり、ここで「はやぶさ」がつくられて、そして制御されています。
「はやぶさ2」のプロジェクトマネジャは、本市出身の津田雄一さんで相模原市名誉観光親善大使でもあります。将来的にはJAXAがあることによって宇宙飛行士を相模原から出したいという思いがあります。
シビックプライドを推進した発端
私は今、市長として2期目ですが、2018年に民間の読売広告社が、関西圏と関東圏の人口10万人以上の151自治体の市民に、自分たちのまちに誇りや共感を持っているかについてのアンケート調査を行いました。相模原市は、先ほどお話ししたとおり、都市と自然のベストミックスで、田舎すぎず都会すぎない住みやすいまちですが、この調査では151自治体149位の結果でした。これはいかんなと思いました。
そのほかのエピソードとして、NHKの「チコちゃんに叱られる!」という番組がありますが、チコちゃんが「相模原って知ってる?」と尋ねて、「書いてみて」と出演者に質問したところ、出演者が「相撲原」って書いてしまいました。「相模原」って誰も書けなかったんですね。
当時、私は違う仕事をしていたのですが、これらを見て、こんなにすばらしい相模原を何で知ってもらえないのだろう、このシビックプライドランキングを上げたいという思いで、また、チコちゃんが、もし5年後、10年後に「相模原って書いてみて」といったら、出演者全員が「相模原」と書ける、そういうまちにしていこうという思いで、国会議員の職を辞して市長選にチャレンジしました。
149位であったシビックプライド調査の結果は、後ほど説明する取組みが功を奏し、2020年は78位とジャンプアップしまして、2021年は76位まで上がりました。
シビックプライドとは、市民の皆さん、そして相模原市に関わる皆さんが、まちに対して誇りや愛着や共感を持って、まちのために自ら関わっていこうという気持ちです。
シビックプライドのメリット
シビックプライドが向上すると、ボランティア活動が活発になったり、加入率が低下しているといわれる自治会活動に、非常に大きな影響があります(図2)。コロナ禍で生活様式が一変しました。確かにコロナ禍は明けましたが、私たちの生活は随分変わってきたという思いがあります。
図2
住民同士のコミュニケーションもようやく復活しつつあると思います。地域のコミュニティの活性化や、市民のまちづくりへの参加意識の向上、定住人口の維持・増加など、シビックプライドが向上すると上がってくるのです。私も市長就任時からシビックプライドという言葉を積極的に使用して、ようやく青年会議所や商工会議所、商工会の青年部の皆さんや市民の皆さんにも、一緒になって発信をしていただけるようになりました。