2024.01.25 政策研究
第6回 民主主義と議会①─民主主義の目的、習熟、限界、現実
特定の価値観を強制することは必ず抑圧をもたらす
齋藤・田中によれば、自由な社会では人々の価値観は一つに収斂(しゅうれん)せず、相異なったものであり続けるといいます。このことにより、政治的リベラリズム(政治的自由主義)〔( )内は筆者補〕は、この「理にかなった多元性の事実」から出発することが求められることになります。したがって、もしも無知、扇動、弾圧などによる不幸な政治的対立がなくなったとしても、人々の意見やスタイルの多元化は消え去らないだろうとし、特定の価値観を強制することは必ず抑圧をもたらすと主張しています(齋藤=田中 2021:119)。そのこと、すなわち特定の価値観を強制することは必ず抑圧をもたらすということは、これまでの社会において民主主義や資本主義という名の価値観(実際には、「足りない(不十分な)民主主義」や「行きすぎた資本主義」)によって出現せざるをえなかった社会事象からも明らかとなります。その代表的な事象は、表4のとおりです。
表4 「足りない(不十分な)民主主義」や「行きすぎた資本主義」によって
出現せざるをえなかった社会事象と、その背景、求められる対応策(例)