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2023.12.25 政策研究

第45回 固有性(その2):地理

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地理と固有性

 地理的特徴は、多くの場合、ある自治体に固有の情報というよりは、上記のように、共通の自治体を束ねる特徴である。例えば、豪雪・台風常襲・多雨・乾燥などという気象・気候条件は、ある自治体の固有な現象ではないことが通常である。豪雪地帯の自治体はたくさんある。例えば、ある自治体Xの固有性の中から、豪雪という特徴を除くことはできないが、逆は真ならずで、豪雪だけでは自治体Xの固有性は成立しない。前回にも触れたように、自治体Xは、豪雪のほかに、日本海側、本州など、様々な特徴を重ね合わせれば、固有性に至ることはあり得る。
 どこを採り上げてもよいのであるが、例えば、桐生市は以下のように自己紹介している(5)(丸付き数字は筆者付番、下線部も筆者)。

① 古くから織物のまちとして発展してきた桐生市は、大正10年(1921年)に全国
 84番目の市として誕生しました。幾多の市域
の変遷をへて、平成17年6月13日に
 は新里村、黒保根村と合併し、面積は2倍に拡がりました。

② 桐生市は、群馬県の東南部に位置し、栃木県の足利市と接し、西は赤城山まで達
 しています。東京には直線距離で90キロ、車で約2時間、JR(新幹線経由)また
 は東武鉄道で約1時間40分で結ばれています。

③ 市街地には渡良瀬川と桐生川が流れ、山々が屏風状に連なり、水と緑に恵まれた
 地に歴史と伝統が息づいています。

④ 桐生の歴史は古く、市内からは縄文時代の石器・土器、住居跡が発掘され、なか  
 でも千網谷戸遺跡から出た耳飾りは国の重要文化財に指定されています。

⑤ 桐生の織物の起こりは古く、奈良時代のはじめには絹織物を朝廷に献上し、江戸
 時代には「西の西陣、東の桐生」とうたわれ、織物の一大産地となりました。

⑥ 織物産業の繁栄を今に伝える町並みがいたるところに残り、近代化遺産の宝庫と
 なっています。特に、天満宮地区と本町一、二丁目には、約400年前の土地の区画
 (敷地割)に江戸後期から昭和初期に建てられた主屋や土蔵、ノコギリ屋根の工場
 など、絹織物業に係わるさまざまな建造物が数多く残り、織物業で栄えた桐生の歴
 史を今に伝えることから、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されていま
 す。

⑦ 桐生は今でも織物の糸へんで生きるまちですが、近年は自動車関連部品の製造な
 ど機械金属産業が基幹産業となっています。

⑧ 今、“感性”を育む人づくり、“つながり”を生かしたまちづくりをテーマに、「感
 性育み 未来織りなす 粋なまち桐生」を将来都市像として、都市基盤の整備や群
 馬大学理工学部を核とした産学官の連携による新産業の創出、さらに豊かな自然な
 どの資源を生かした施策を推進し、住みよいまちづくりに努めています。


 ①は自治体政府(地方公共団体)としての沿革であり、④⑤⑥は地域の歴史である(6)。②③⑤⑥⑦は地理的情報であり、特に、⑤⑥⑦は過去と現在の経済・産業である。⑧はそうした与件を踏まえた施政方針であり、自治体政府のありようである。
 なお、位置と交通アクセスとしては、図面はリンクのとおりであるが、文字情報の大要は以下のとおりである(7)
 ・市役所の位置 北緯36度24分19秒 東経139度19分50秒
         標高107.672メートル
 ・交通アクセス 位置図(群馬県域)
         拡大図(※筆者注:桐生市は、桐生地区と新里地区・黒保根地区とが
         飛び地)
         車をご利用 北関東自動車道、関越自動車道経由、東北自動車道経
         由、高速バス
         鉄道をご利用 東武鉄道、JR、駅のご案内、鉄道アクセス図
 交通アクセスは、重要な地理的情報であるが、主に市外からの人々を対象にしているといえよう。

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