2023.08.10 政策研究
第1回 自治体の定義、自治体と議会の関係、自治体における主なアクターの特性、という発言に期待される含意と政策
どちらを選ぶか? 「自治体議会」と「地方議会」
次に、「議会(市区町村議会・都道府県議会)」の用語法については、表2に示すように「自治体議会」「地方議会」という言葉があります。この二つの言葉についても、用語の趣旨・ねらいを意図的か非意図的かは分かりませんが、明らかにせずに用いているものが少なくないようです。そのような中で、金井利之は表2に示すように、①国と(当該地域の固有の)自治体の双方が中心となる「楕円(だえん)形」である。その意味で「自治体議会」という用語を使う(図1参照)、②「地方」という用語は、自治体セクター総体(マクロ)を指すものとして使い、個々の自治体に注目する意味では、「地方議会」という用語を用いない、という趣旨から「自治体議会」という言葉を用いています。他方、全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会、全国町村議会議長会は、要望書や決議書等において「地方議会」の言葉を用いていますが、将来的には、よりふさわしい言葉を見つける必要があるようにも思えます。
(注)「用語の趣旨・ねらい等」欄については、筆者が表現を若干変更している。
出典:筆者作成
表2 「議会(市区町村議会・都道府県議会)の用語法」の「主な使用例」と「用語の趣旨・ねらい等」
なお、表2中の「①『中央』に対する場末・周縁としての『地方』ではない(意思決定の焦点は、国と自治体の双方に分割される。個々の地域市民や地域社会から見て、国と(当該地域の固有の)自治体の双方が中心となる『楕円形』である。その意味で『自治体議会』という用語を使う)」という内容については、金井による図(金井 2019:3)がありますが、筆者(=田中)なりに図示すれば、図1のようになります。
出典:筆者作成
図1 市民にとっての「政府及び政府政策の楕円形のイメージ」
(国と自治体の政府政策に限った場合)