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2023.07.25 議会改革

【セミナーレポート】全国地方議会サミット2023「変わる社会・デジタル・あたらしい民主主義」

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 2023年7月5日(水)ー7月6日(木)の2日間、「全国地方議会サミット2023」が、対面とオンライン併用で開催されました。「変わる社会・デジタル・あたらしい民主主義」をテーマに、講演が行われましたので、その様子をレポートします。 

DAY1(7/5)

 1日目のはじめに、北川正恭氏(早稲田大学 名誉教授 元三重県知事)が、「激変する時代に対応する議会を実装せよ」のタイトルのもと、デジタルの先進事例や問題点を挙げた上で、議会の役割は民意の反映だと強調し、地方議会から地方を変えていくことの重要性を説きました。
 次に河野 太郎氏(デジタル大臣)による、「デジタルで変わる社会 地方と議会への期待」の特別公演がありました。オンライン参加の河野氏は、デジタル化の推進の主目的は、移動が難しい国民にも、医療をはじめ様々な行政サービスを平等に提供できることだとしました。政策は地方分権で、ベースとなるシステムや様式は国が統一するという考えのもと、今後各種証明書の様式等は統一予定のようです。
 第1部のテーマ「デジタルで変わる自治体・政策」ではまず、佐藤 泰格氏(都城市 総合政策部デジタル統括課)が、マイナカード交付率が国内で最も高い96%の都城市のデジタル戦略について発表しました。同市では、農業や土木等オンライン化が進まない部分に注力するほか、子どもの一時預かり施設や介護施設等のデジタル化も推進しているとのことです。
 次に寒川 孝之氏(横須賀市 デジタル・ガバメント推進室)が、「ChatGPTの自治体活用実証 横須賀市のデジタル戦略」について、チャット機能等を活用し、役所や保健所がデジタル機能で連携している例を発表しました。
 続いて、森 いづみ氏(県立長野図書館長)が、全国初県内全77市町村との協働電子図書館「デジとしょ信州」について、市町村と県が協力して推進している事例を挙げました。2019 読書バリアフリー法をきっかけに、信州SDGsである読書バリアフリーの実現に励んでいるとのことです。
 次に電子図書館の関連で、林 剛史氏(株式会社メディアドゥ 電子図書館推進センター)による「デジタル図書館とアクセシブルライブラリー 」の紹介がありました。デジタル図書館の国内普及率を上げることを目標に掲げ、デジタル図書館は図書館の代わりではなく、リアル図書館との組み合わせにより利便性を発揮するものだとしました。まずは自治体間での普及を目指し、その後特別支援学校等教育機関にも普及したいとのことでした。
 第1部最後の質疑応答では自治体職員等を中心に、チャットGPT通信の予算や個人情報保護の安全性、デジタル図書館開設の費用についての質問が寄せられました。

1日目第1部のようす


 第2部のテーマは「オンラインとデジタルを生かす」で、はじめに「議会デジタル化の必要性 ChatGPTなどの生成系AIとどう向き合うか」について、河村 和徳氏(東北大学大学院准教授、都道府県議会デジタル化専門委員会座長)が講演しました。東日本大震災やコロナ禍に、議会(議場?)へ議員が集まりにくくなったこと等を通じて、選挙も議会も「密」だと判明し、議会でのデジタル必要性が重視されるようになったとのことです。
 続いて「デジタル・オンライン活用最前線 AI活用による議会の視覚化と市民参画」について金澤 克仁氏(取手市議会 議長)は、会議をオンラインで多く実現した実績について、オンラインでの事前の議案説明により議会を「見える化」し、デジタル技術でリアルタイムで議事録を作成するシステム当を取り入れたことをあげました。
 財前 貴玄氏 (Gcomホールディングス株式会社 まちだん担当)は「デジタルで変わる市民と議会 まちだん宮崎市議会DX実証実験より」と題して、宮崎市議会が議会改革として取り入れた「まちだん」というwebサービスによって、市民と議会が双方につながっている事例を紹介しました。市民からの疑問や提案が、システムを通じて直接議員に投げられるようになったそうです。
 第2部の質疑応答では、リアル議会とオンライン議会の違いについてや、デジタル・デバイドを誰がサポートするのか等についての質問がありました。
 第3部は、「デジタルが拓く新しい民主主義」のテーマで、「Society5.0時代のあたらしい民主主義」のタイトルのもと、中村 健氏(早稲田大学マニフェスト研究所 事務局長)が、誰でもどこでも病気や出産等の事情にかかわらず平等に投票できる仕組み作りの必要性や、選挙の時しか公約が出ないこと、選挙が非日常であるという問題等を指摘しました。
 五十嵐立青氏(つくば市長)は、「つくば市が取り組む選挙DX インターネット投票実証実験より」はネット投票の必要性を強調し、投票所に行きたいが行けない人々のためにも、「市民を移動させる」のではなく、「行政が市民の手元に行く」という新たな概念を築いていくとしました。
 第3部の最後には、芽室町の選挙管理委員会書記長の山本氏が、立候補者数が定員内であったことから無投票となった事例を発表した後、つくば市議会議員の川久保氏による「選挙チェンジチャレンジの会」という新しいスタイルの選挙活動の取り組みについての紹介がありました。

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