2 条例の内容・関連する取組み
(1)条例の内容
① 前文
前文では、条例制定の背景や本県が目指す理想を掲げています。本条例により、持続可能な観光地域づくりの推進及びユニバーサル社会づくりの実現に寄与することを目指します。
② 定義
本条例の用語の意義を定めています。本条例の対象は高齢者、障害者等(高齢者、障害者、乳幼児を同伴する者その他の移動又は宿泊に困難を伴う者)としています。ユニバーサル社会の対象はすべての人ですが、旅行分野でのユニバーサル社会の実現を目指す実施条例である本条例では、対象をすべての人とするとターゲットが不明瞭になってしまうため、旅行をするに当たり課題を抱えている高齢者、障害者等をターゲットとすることで、取組みの実効性を高めていきます。
③ 基本理念
ユニバーサルツーリズムを推進する上での基本理念を定めています。
検討会やアンケート調査の中で、高齢者や障害者は自身の配慮ニーズに対応しているかどうかで旅行先を決定するため、選択肢が少なく、「行けるところ」に旅行するケースが多いという声がありました。そのため、「高齢者、障害者等が希望する目的地、交通手段、施設、体験活動等を自由に選択することができるようにする」と規定することにより、目指すべき姿として「行きたいところに旅行できる環境の整備」を掲げています。
また、取組みの方向性として、高齢者、障害者等に対する「受入体制の充実」、高齢者、障害者等が「情報、知識又は技能を得られる機会の確保」、ユニバーサルツーリズムの推進に関する「気運の醸成」を掲げています。
④ 役割・責務
ユニバーサルツーリズムは、高齢者、障害者等の旅行者と観光関連事業者の受入側だけの問題ではなく、高齢者、障害者等が気兼ねなく旅行できるようになるためには、同じ観光地や宿泊施設等で旅行する他の一般客の理解が不可欠です。そのため、県民の役割として「理解を深めるよう努めるものとする」、「県及び市町が実施する……施策に協力するよう努めるものとする」と規定することで、一般客をはじめとする県民の理解促進・気運醸成を図ります。
⑤ 基本的な施策
9条以下では、基本的施策として、観光関連事業者及び支援団体等相互の連携(9条)、観光関連事業者に対する支援(10条)、観光関連事業者の登録(11条)、人材の育成(12条)、相談員(13条)、普及啓発(14条)、情報提供(15条)、財政上の措置(16条)、推進体制の整備(17条)と、九つの施策を定めています。