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2023.06.12 まちづくり・地域づくり

第4回 「音楽」を活用したまちづくりの成功要因① 文化は“振興”からまちづくりの“基点”に──音楽を活用した新たな仕組みづくり

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 自治体における文化政策は、長らく文化財保護と鑑賞機会の提供などの普及啓発が主であった。普及啓発に関しては、全国に公立文化施設が整備され、義務教育と結びついた文化教育が行われ、インターネットの発達により世界中の文化芸術へのアクセスが容易となった現在においては、さらなる普及啓発の優先度はそれほど高いとはいえないかもしれない。むしろ文化芸術の自律性を担保しつつも、生み出される価値を当事者と関心層の中に閉じ込めるのではなく、社会に開き、関連分野につながる多様な主体と連携・協働することが求められている。さらに実演芸術においては、その場となる劇場・音楽堂が地域の発展を支える機能を期待されているのが文化政策と「まちづくり」の現在地だといえる。
 しかしながら、2019年の調査では基本法の理念に基づき他の行政分野との連携を図っていると回答した自治体は16.2%にとどまっており、64.3%は方針も意向もないと回答している(1)。その理由はいくつか考えられる。一つには、先述のとおり基本計画がない自治体が多いということは、施策を実行する文化芸術専門の所管課も整備されていないということであり、主体的な施策を打ちづらいこと、二つめに他の施策分野から文化芸術との連携を想起しづらいこと、そして三つめには、数ある芸術分野の中から特定の分野を優先させたり、特定の文化芸術団体や個人に支援を与えることの正当化が難しいことではないかと考える。文化芸術はその特性上、入札による価格競争など公平性の高い選定プロセスを使いづらい。文化政策ほど、首長など一部のトップの意向によって大きく左右される政策はないともいわれ、熱心な首長がトップダウンで政策を推進したり、あるいは首長が交代するとそれまでの文化政策が方向転換させられるなどの例もある(工藤 2018)。
 人口減少が進む自治体においては、他の政策に比べて文化政策が二の次、三の次になる状況は容易に想像できる。しかしながら、その土地の文化も自然環境などと同様に、ケアし続けなければ維持できない地域資源である。年に1回、地元の文化会館に東京から有名な楽団やアーティストを招へいするということだけが文化事業ではない。それも肥料になるかもしれないが、すぐには干上がらない地域文化の土壌をつくるためには、住民主体の、文化を核としたコミュニティ施策として文化事業を構想することが必要である。
 そのカギは、協働である。筆者は協働により新たなアイデアや知見を入れながら、音楽を活用したまちづくりの事例について、独自にヒアリングを行った。今回はその中から三つの事例を紹介する。

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