2023.06.12 議員活動
自治体法務検定演習問題を解いてみよう(その58)
正解及び解説
■基本法務
〔正解〕③(配点15点)
〔解説〕この問題は、民法の物権分野からの出題である。構成部分の変動する集合動産についても、その種類、所在場所及び量的範囲を指定するなど何らかの方法で目的物の範囲が特定される場合には、一個の集合物として譲渡担保の目的となりうる(最判昭54・2・15民集33巻1号51頁)。したがって、①は妥当でない。所有権移転の形式をとっている動産譲渡担保の対抗要件は、引渡しである(民法178条)。多くの場合、譲渡担保設定者が担保物を使い続けることができるように、占有改定(民法183条)の方法で行われている。したがって、債権者が占有改定により間接占有権を取得したときは、債権者はその所有権取得を第三者に対抗できる(最判昭30・6・2民集9巻7号855頁)。したがって、②は妥当でない。債権者が譲渡担保権を実行した場合、譲渡担保の目的物の価額から被担保債権額を差し引き、なお残額があるときは、これを清算金として債務者に支払うこと(清算義務)を要する(最判昭46・3・25民集25巻2号208頁)。したがって、③は妥当である。所有権留保とは、売買代金の支払前に売主が買主に目的物を引き渡すが、代金が支 払われるまでは目的物の所有権は売主に留保する非典型担保である。したがって、④は妥当でない。よって、正解は③となる。(基本法務テキスト324~325頁)
■政策法務
〔正解〕②
〔解説〕①は妥当である。選択肢に記載の通りである。②は妥当でない。審査法務は法制執務に特化され、肝心の条例の中身の検討が十分ではない場合も散見された。③、④は妥当である。選択肢に記載の通りである。(政策法務テキスト10頁)