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2023.05.25 政策研究

第38回 協調性(その1):統制・協調・対立・一致

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垂直的協調性と垂直的対立性(統制性)の併存

 国とAとの方針が一致しており、垂直的協調性が存在するが、しかし、国とBとの方針が一致しないがゆえに、垂直的協調性が存在しないことがある。また、当然、AとBとは方針が一致していないから、水平的協調性は存在しない。このようなときには、A、B間の対立解消という観点からも、Bの方針を国に対して服従させたいという観点からも、国はBに対しては垂直的統制を行おうとするだろう。国と自治体の垂直的関係はたくさんあるので、ある自治体とは垂直的協調関係であっても、別の自治体とは垂直的対立関係又は垂直的統制関係になることがある(図4)。
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図4

 例えば、国はA県からB県に自衛隊基地又は部隊・演習活動を移転しよう、という方針を提示することもあろう。A県は基地負担軽減として、国の方針を歓迎し、国と垂直的協調関係になるかもしれない。しかし、B県は基地負担の増加であるとして、基地移転反対の方針を立て、国と垂直的対立関係になるかもしれない。基地の存在が負担(いわゆる「基地害」)のある迷惑施設であれば、上記のような関係である。逆に、基地の経済効果に期待するならば誘致施設になり、利害判断は逆になる。つまり、A県は基地経済のメリットの消滅として、国と垂直的対立関係になるが、B県は基地誘致賛成となって、国と垂直的協調関係になるかもしれない。
 A県が基地負担軽減を歓迎し、B県が基地経済増大を歓迎するならば、国とA県の関係でも、国とB県の関係でも、垂直的協調関係が形成されるだろう。これは最も望ましい状態である。しかし、そのような状態が形成できるとは限らない。そもそも、自治体間で利害判断が正反対になるとは限らず、全ての自治体が忌避又は歓迎するかもしれない。あるいは、国の方針は、自治体の利害判断とは全く別の判断に依存するかもしれない。その場合には、A県が基地経済保持を求め、B県が基地害を忌避するにもかかわらず、国は安全保障の判断から、基地をA県からB県に移転するかもしれない。例えば、A県の基地は仮想敵国に近すぎるとか、人口密集地・政府中枢・米軍基地に近すぎて仮想敵国からの当初攻撃を想定すれば被害が大きいとか、いろいろな判断があり得るからである。この場合には、国はA県ともB県とも垂直的対立関係に立つ。

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