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2023.03.27 政策研究

第14回 生物多様性地域戦略の策定で地域ブランド価値の向上を!

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生物多様性を調べてお金になるのか?

 温暖化対策については、連載第3回でも述べたように、温暖化対策実行計画(区域施策編)について策定義務のない中核市未満の市でも3割を超える市町村が策定していた。一方、生物多様性地域戦略は、全体を通じても、策定した自治体はまだ1割に達していない。そのような計画や戦略が本当に地域経済の活性化に役立つのかと思われる市区町村が多いためであろう。しかし、例えば、これまで紹介してきた環境配慮を生き物でシンボル化することで農産物の付加価値向上に役立てる手法などでは、公的部門がしっかりと地域の生態系の価値を評価することが重要である。また、連載第11回でも紹介したように、プラネタリー・バウンダリーの観点からいえば、「生物圏の一体性」つまり生物多様性のうち(生物種の)絶滅の速度、要するに生物多様性の喪失は温暖化以上に深刻な危機と捉えられている。
 「生物多様性地域戦略策定の手引き(改定版)」5頁でも、佐渡市の事例が紹介されている。「新潟県佐渡市では『生物多様性の恵みを持続的に享受する地域社会を構築すること』を基本目標に、ブランド化の促進や、地産地消の促進、ツーリズムの促進など、生物多様性を核にして地域の様々な課題路関連づけ、地域振興を核にした課題解決を目指しています」(原文ママ)。
 少し持って回った表現であるが、これからは生物多様性の豊かな地域は、生物多様性が豊かであることから害虫を捕食する昆虫も豊かであり、殺虫剤の利用を減らせる可能性もあるなど、有機農業にも取り組みやすい可能性が高い。また、環境配慮を訴求しやすいため、農産物に付加価値をつけやすい。さらに、生活環境や旅行先としても生物多様性の豊かさは訴求ポイントだ。皆さんのまちでも、中長期的なまちのブランド価値を高めたいなら、最低限、生物多様性に配慮した緑の基本計画の策定、そしてできれば、生物多様性地域戦略の策定を議会においても提案することを強くお勧めする。 

(1) 環境省ホームページ「生物多様性地域戦略」(https://www.env.go.jp/nature/biodic/lbsap.html)。
(2) 環境省ホームページ「生物多様性地域戦略の策定状況(市区町村〈政令指定都市を除く〉)」(
https://www.env.go.jp/nature/biodic/lbsap/except_seirei.html)。
(3) 国土交通省ホームページ「緑の基本計画」(
https://www.mlit.go.jp/toshi/park/toshi_parkgreen_tk_000075.html)。
(4) 国土交通省都市局公園緑地・景観課「生物多様性に配慮した緑の基本計画策定の手引き」(2018年4月)(
https://www.mlit.go.jp/common/001231886.pdf)17頁。
(5) 国土交通省「都市緑化データベース」(
https://www.mlit.go.jp/crd/park/joho/database/toshiryokuchi/midori_kihon/index.html)。
(6) 国土交通省都市局「緑の基本計画における生物多様性の確保に関する技術的配慮事項(都市緑地法運用指針 参考資料)」(2011年10月)(
https://www.mlit.go.jp/toshi/park/content/H231001hairyojikou.pdf)。
(7) 国土交通省都市局公園緑地・景観課・前掲注(4)。
(8) 国土交通省ホームページ「エコロジカル・ネットワークに関する調査」(
https://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/kokudoseisaku_tk3_000023.html)。
(9) 環境省自然環境局「生物多様性地域戦略策定の手引き(改定版)」(2014年3月)(
https://www.env.go.jp/content/900489576.pdf)。

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