2023.03.10 まちづくり・地域づくり
第1回 まちづくりの過去と現在、未来 ~キーワードからまちづくりを振り返る~
(4)共創の時代
近年のまちづくりのキーワードは何だろうか。実は、まちづくりの文脈において、多様な言葉(概念)があふれているのが実態である。表は、近年のまちづくりを取り巻く概念を示している。それに加え、先述した市民参加や市民参画、協働もある。
出典:各ホームページ等から筆者作成
表 近年のまちづくりを取り巻く概念
まちづくりの概念に幅を広げた一つのトピックスとして地方創生がある。地方創生のキーワードは、産学官金労言士である。「産」は産業界、「学」は大学等の学界、「官」は行政を意味する。産学官は以前から使われていた。産学官に加え、地方創生が始まり、「金」金融界、「労」労働界、「言」言論界(マスコミ)が追加された。近年では「士」も入ってきた。「士」とは弁護士や公認会計士、中小企業診断士などの「士業」を意味している。きっと、地域を構成する多様な主体者で、地方(地域)の創生を目指そうという意味があるのだろう。
表の中で、筆者は「共創」に価値を見いだしている。筆者は、共創を「自治体が地域住民や民間企業、NPO、大学等の自治体外と『共』に活動して、イノベーションの『創』出につなげること」と定義している。共創の行き着くところは、新しい価値観の提示である。共創のまちづくりは地域にイノベーションを起こす土壌となる。なお、イノベーション(新結合)は、経済学者であるヨーゼフ・シュンペーターの言葉である。シュンペーターは、イノベーションこそ資本主義の本質と説いている。新結合による変化が経済を発展させると述べている 。
本連載は、共創を土台としてまちづくりを進め、地域にイノベーションをもたらした事例を紹介していく。