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2023.03.10 政策研究

第15回 政策(議会基本条例)と議会・議員(下)

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「話し合い」三つの可能性

 村田和代は、「問いを深め合うディスカッションメディアsyn」がリリース(2020年8月24日)したインタビュー「異なるものをつなぐ『話し合い』の可能性」(https://s-y-n.jp/issue/135/〔2023年2月19日確認〕)の中で、「話し合い」には大きく分けて三つの可能性があるという。一つ目が、教育や人材育成に非常に役立つということである。二つ目に、「話し合い」には、イノベーションや組織、コミュニティの活性化を起こす触媒としての機能があるということである。三つ目に、「話し合い」には社会的包摂の場としての可能性があるということである。そして、問題を乗り越えるためには、やはり直接話すことが重要ではないか。異なる人との対話で人は変わるが、いわゆるマイノリティ、社会的弱者の人たちとの直接的な話し合いの場こそが、最も分断を越える可能性が大きいのではないかという。
 これらのことは、議会の「話し合い」にも当てはまるであろう。「話し合い」によって、議員が育ち、議会が活性化し、「聴き合い」、「話し合い」の場は、社会的包摂の場となるからである。

「話し合い」にはデザインが必要、重要な「聴き合い」、「話し合い」に求められる「パーティシパントシップ(参加者精神)」、生み出される「ラポール(心理的共感を伴ったつながり)」

 「話し合い」の場はデザインする必要がある。そのデザインでは、「どういうプロセスで」「どんな人たちが集まるのか」を、前もって設計することが非常に重要となる。
 村田は前述のインタビューで次のようにいう。「話し合い」という言葉をずっと使っているが、実は最も大事なことはお互いに聴く、「聴き合い」(「 」は筆者)ということではないかと思っている。話し合う場で互いが歩み寄るためには、やはり「聴く」ことが、実は一番重要なのではないかと考える。「話し合い」の参加者には、スポーツマンシップならぬ「パーティシパントシップ(参加者精神)」を身につけてほしい(村田 2020)という。繰り返せば、適正な「話し合い」のためには、「聴き合い」が求められる。聴き合いで、話し合いがよりよいものとなる。聴き合いは、聞き漏らしをなくすことにもつながる。
 また、違いがあるからこそ、相手(市民・議員・議会事務局職員・首長等の執行機関・職員)の思わぬよさに気づくこともある。異質なものは大切である。特に、初めての人(例えば、新人議員)がいるときには、「話し合い」の参加者には、パーティシパントシップを発揮することが必要となる。従来からの議員間、従来からの議員・従来からの議会事務局職員間、従来からの議員・従来からの首長(職員)間では、それまでの蓄積された信頼があるため難なく「話し合い」ができるかもしれない。しかし、新人議員と期を重ねた議員間、新人議員と従来からの議会事務局職員間、新人議員と首長(職員)間においては、それまでに蓄積された信頼がないかもしれない。また、従来からの議員と新しい議会事務局職員間、従来からの議員と首長(職員)間においても、信頼がないかもしれない。
 そのため、適正な「話し合い」を行うためには、十分な「聴き合い」が求められる。「聴き合い」のようなコミュニケーション・コストは必要である。

例えば、委員会でのパーティシパントシップとラポール形成

 ここでは、議会の委員会を例にとり、パーティシパントシップ(参加者精神)とラポール(心理的共感を伴ったつながり)構築について考えてみよう。委員会で委員長がどんなに頑張っても、他の委員にパーティシパントシップがなければ、適正な議事の進行(十分な議論)はなしえない。委員長だけではなく、委員の積極的な配慮や働きかけが議論に大きな影響を与えるからである。委員である議員には、委員会の参加者間にラポールを構築し、それぞれの立場を超えて協力して政策について議論することが求められる(パーティシパントシップとラポール形成については、村田 2011:102-104を参照されたい)。
 なお、議案説明のために委員会に出席している執行部職員には、委員がパーティシパントシップを持ち、ラポール構築を心がけているか否かがよく分かる。このことは、本会議でも同じである。否の場合は、二元代表制としての議会という認識が低い場合が多いと考えられる。

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