2023.03.10 議会運営
第88回 任期満了直前に提出された請願の取扱い
○平穏の意味(行実昭和28.9.30)
(事実)市警察吏員が職権を乱用して請願人の名誉及び信用を棄損し人権をじゅうりんしたから憲法第16条及び地方自治法第124条により該警察吏員を罷免願いたく請願するという請願が提出されたが、その内容において、
(1)われわれの生命財産を保護させるために雇ってある者が、故意に罪人を作ってどういう利益があるか、
(2)告訴された事件でも取り上げず故意に逃がしている者もあるのではないか、
(3)自分(警察吏員)が検察庁へ告訴されたので仇を討つつもりで自己の地位を利用し、
(4)失業者を1人でもなくそうとしてできた社会を一々商法違反だといって、営業妨害をするなら、公にかっておいてまで営業妨害をさせる必要はない。だから請願人の代表している○○会社は市民税を払えない、
(5)請願人の名誉や信用を棄損させ請願人をいかにも大悪人のごとく造り上げようと故意にした不都合きわまる人間、かかる迷惑千万な職権乱用者をかっておくのか、
等の字句が使用されている。憲法16条には「平穏に請願する権利を有する」と明文化されているが、
問1 本件に関連して、憲法第16条の規定中の「平穏」の意味
2 この請願はそのまま受理すべきか。
3 そのまま受理せず字句を訂正して再提出させるべきか。その場合訂正すべき字句について具体的にお示し願いたい。
答1 示威運動や面会の強要等威迫的手段によることなくという意味であって、請願文中の文言いかんは問うところではないものと解する。
2 その形式、手続きが整っている限り、受理しなければならない。
3 2により承知されたい。
ところで、請願は一般の議案と異なり、行実昭和49.2.5に示されたとおり、閉会中に提出された請願も議長が法的に受理することが可能である。
○閉会中議長が受理した請願の取扱いについて(行実昭和49.2.5)
問 昭和48年9月25日付行政課決定(請願の受理について)に伴い、次のように解してよいか。
1 閉会中議長が受理した請願を審査するため地方自治法第101条による臨時会招集の請求ができるか。
2 議長が、閉会中に受理した請願を継続審査事件を付託されている委員会に付託することができるか。
3 閉会中議長が受理した請願で未だ付議されていないものについて、これを紹介した議員は議長の同意を得ればその紹介の取消しをすることができるか。
答1 お見込のとおり。
なお、昭和43年11月7日付自治行発第99号は変更されたものと承知されたい。
2 できない。
3 お見込のとおり。
この場合には、取消しの手続きを会議規則に規定すべきである。
この閉会中に法的に受理した請願は通常、次の定例会において市会議規則141条1項の規定により請願文書表の配布とともに所管の常任委員会へ付託されることとなるが、請願の内容が当該定例会中において審議結果を出すことが難しい場合や、請願に対してあえて議会として意思を表示したくない場合(住民の要望・意見である請願に対し、否決して明確に拒絶することに抵抗がある場合が想定される)がある。