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2023.02.27 議会改革

第36回 これからの時代の自治体議会を展望する

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4 自治体議会と情報通信技術・デジタル技術

 近年、自治体議会の審議や活動のあり方に大きな影響を与えるようになっているのは、情報通信技術(ICT)やデジタル技術であることは、いうまでもない。これらは、自治体や行政のあり方にも大きな影響を及ぼしてきており、新型コロナウイルス感染症の度重なる感染拡大は、それに拍車をかけることにもなった。議会中継、ウェブサイトによる情報発信、ペーパーレスとタブレット配付、大型モニターの利用など、議会の情報発信のあり方や審議の風景も変化してきている。
 しかも、それらの技術の発達のスピードは速く、人・財源など各種経営資源の不足・制約に直面する自治体においてはAIも含めたそれらの技術の活用が今後の鍵を握るともいわれており、自治体議会としても、これに積極的に対応していくことが求められることになる。とりわけ、政府は、国・地方を通じたデジタル・ガバメントの構築を掲げ、遅れが目立つデジタル化の推進に力を入れており、そのような中で、行政のデジタル化については、その手続やサービスのオンライン化などがある程度進みつつある一方、議会におけるデジタル化は通信環境の整備にとどまっているところが多い。自治体議会が抱える課題への対応、あるいは感染症拡大、災害等の危機対応の観点などから、議会においてもデジタル化を進めていく必要が指摘されている。
 その場合、行政のデジタル化は利用者の利便性の向上と事務の効率化・高度化が目的となるのに対し、議会のデジタル化では、行政のデジタル化・高度化に対応しつつ、平時・緊急時を問わず議会機能の十分な発揮・確保、積極的な情報発信による公開性・透明性の向上、住民とのコミュニケーションの強化や多様な意見のくみ取りなどを目指すべきことになる。また、その際には、デジタル化により性別や年齢、障害の有無などにかかわらずすべての人を包摂するデジタル・インクルージョン(5)や、ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるDX(デジタルトランスフォーメーション)(6)といった視点も要請されるようになっている。さらに、データが価値創造の源泉であることからは、情報インフラの整備とともに、データの様式の統一化等を図りつつ多様な主体によるデータの円滑な流通の促進など(7)を通じ、地域力の強化と主体的な課題解決の推進や、EBPM(8)等による政策の合理化・高度化を図ることなども求められており、立法機関である自治体議会もそのことと無縁ではないはずである。
 住民との距離を縮めるため、DXに取り組む議会も現れている。例えば、宮崎市議会では、ウェブサービス「まちだん」を通じ、市民がパソコンやスマートフォンから議員のプロフィールや活動を確認できるほか、市民が議員に質問・相談をしたり、議員が市民にアンケートを行ったりするなど直接にやり取りできるようになるとともに、議会中継や議会だより、さらに今後は議会報告会、本会議スケジュールなどの議会情報の配信なども行っていくとのことである。
 他方、議会のあり方との関係で大きなインパクトをもちうるのがオンライン審議であることはいうまでもない。新型コロナウイルス感染症の感染拡大がこれを後押しする形となり、自治体議会の中には、委員会条例等を改正して委員会でオンライン審議を行うことを可能とし、実際に実施するところも見られた(9)

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