2023.02.10 政策研究
第14回 政策(議会基本条例)と議会・議員(上)
議会基本条例は議会改革の評価項目、議会基本条例は市民とのマニフェスト、一度は議案を疑う
前田隆夫は、議会と住民との対話は、民主主義や地方自治の土壌を肥やす作業であると思う。一朝一夕に、目に見える成果は出ない。いい加減にやり過ごせば、土はやせてしまう。まちづくりの根を四方に張ることもできない。「議会改革ブーム」に乗って報告会や議会報告会を手がけた議会は、早晩メッキが剝がれるだろう。議会改革の次の10年は持続性が問われるという(前田 2016:21)。その意味では、議会基本条例は、議会改革の評価項目となりうることから、議会改革の重要なツールの根拠となりうる。そして、議会基本条例は、民主主義や地方自治の土壌を肥やす作業である対話(話し合い)を、関係者(市民・議会・行政等)に求めることになる。
また、前田によれば、議会基本条例の制定を目指す他自治体議会で、議会基本条例とは何か、なぜ制定するのかを住民に周知するためのシンポジウムに出席した栗山町議会の橋場利勝議長(当時)は、「私たちの条例の基本は、徹底した情報公開と住民参加です。これ(条例)は住民とのマニフェスト、契約だと思っています」と、会場に向かって語りかけたという(前田 2016:19)。この橋場元議長の言葉は、住民の参加と信頼を期待してのものであったのではなかろうか。
矢野奨は、討議の深さが議決責任に直結するという(矢野 2016:22)。このことは、討議の深さが、議員相互の議案に対する理解を深めることから納得することができる。さらに、矢野は執行部提案の議案について、「もっと良い方法があるのではないか」と一度は議案を疑ってみることが必要であるという(矢野 2016:23)。二元代表制の下、首長(行政)を制御する議会にとっては、市民のためにもこのような思考は大切であろう。