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特集 2023年統一地方選挙

2023.01.25 コロナ対応

アフターコロナのインターネット選挙

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4 ネットを利用して支持を拡大するには  

 では、アフターコロナ時代、現実世界での活動が制限される中、ネットを使って支持を拡大することはできるでしょうか。それは、①ネットをプッシュ型メディア的に利用する=広告、②多くの人に評判を拡散してもらう=口コミを広げる、の二つで可能になります。

(1)ネット広告  
 ネットの中で関心のない人にプッシュ型として情報を届けるためには、ネット広告が有効です。公職選挙法で選挙期間中に広告を出すのは政党のみに限られるので、地方選挙等では選挙前に政治活動報告という形で広告を打ちます。今までの政治活動の報告や、今後行っていきたい活動などを、広告の形で発信します(注:政治活動報告では、公職選挙法に抵触する事前の選挙運動に当たる選挙の特定や応援の依頼などはできません)。  
 ネット広告は少額(5,000円程度)でも可能で、地域や閲覧者の属性なども指定できます。テレビCMや新聞広告よりも費用が安く、また届けたい人だけに届けることが可能で、非常に効率のよい広告を出すことができます。例えば少額で10種類の政策の広告を打って、その反応を比較し、反応のよい広告を見つけて、その広告をヘビーローテーションする、などという「実験」ができるのもネット広告の特長です。  
 それまでのマスコミ広告では反応を綿密に数値化することは困難でしたが、ネット広告は表示数、クリック数等の反応が数値化されます。まずは、いくつかの広告を政策別に出し分けてみて(例えば少子化、経済、高齢者対策、教育、観光誘致など)、反応を見てみましょう。反応のよい広告の内容を、さらにバリエーションを増やして反応を見る。これを繰り返すと、その地域や属性に最適な広告内容が見つかるはずです。これは米国大統領選挙において、民主党のオバマ候補がとった作戦です(当時は電子メールがメインでしたが)。

(2)口コミを広げる  
 口コミサイトに話を戻してみましょう。ユーザーは必要に応じて、お店のサイトを閲覧したり口コミサイトを閲覧したりします。お店のサイトでは営業時間や行き方などを調べます。一方で、多くの人は、そのお店の料理がおいしいか、接客態度が適切かどうかは、口コミサイトの方を見ると思います。いくらそのお店の公式サイトで「うちの料理は日本一」、「当店は接客対応が最高」と書いてあっても、それを鵜呑(うの)みにする人は少ないと思います。  
 評判で、最も重要視される情報は、口コミサイトの「星」と「コメント」です。皆さんも口コミサイトで「星四つ」が付けられていたなら、このお店は料理がおいしくて接客も適切だろうと思うでしょうし、「星一つ」しか付けられていなければ、このお店は料理がおいしくなくて接客も不適切だろうと思うでしょう。  
 その星を付けたのは、あなたの知らない、誰か分からない、全くの素人ですが、逆に「お店とも自分とも関係性の薄い人」の情報ほど信頼性がある、と人は判断します。コメントも同様で、お店とも自分とも全く関係のない第三者の評価ほど、人は「重要」と判断します(社会学では、弱い紐帯(ちゅうたい)の強さ、といいます)。  
 ネット選挙でも同じです。いくら自分の公式サイトで「私が当選者として最もふさわしい」、「私こそ最高の政治家」と書いても、多く人を納得させることは困難です。それよりも、第三者に評価してもらうことが重要です。とはいえ、全く無関係の人に自分の口コミを書いてもらうことは困難なので、例えば市議団や県議団の間でとか、支援してくれている首長や国会議員、後援会関係者などに、候補者の実積やプロフィールなどを書いてもらいます。また、中学校や高校の同級生に、当時のエピソード(生徒会で頑張っていた、部活で部長をやっていた等)を書いてもらうのも効果的です。社会に出る前のその人の評判は、その人の「人となり(為人)」をうかがうのに最適です。  
 自分自身による発信には限界があり、そもそもその人の公式サイトやSNSを見にきている人は、(プル型メディアなので)ある程度、投票意向を示している人です。そうではなく、無関心な人やその人を知らない人に情報を届けるためには、なるべく多くの、バラエティに富んだ人たちに、その人の評判を書いてもらうことが重要です。例えば、街頭演説などで「写真撮影OK、SNS投稿OK」と書いた看板を置くだけでも、口コミを広げることが可能です。いろいろと工夫をして、自分を多くの人に評価してもらいましょう。

5 まとめ  

 以上のように、ネットはプル型メディアですから、街頭演説等の現実世界での活動で支持を広げ、そこで関心を示した人へ情報を届けるために公式サイトで自らの5W1Hを発信してください。また、SNSでは動的情報を中心に発信していきます。ただし、広告や口コミなどを利用すると、ネットをプッシュ型メディアとして利用することも可能です。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、現実世界での活動が制限される中、支持拡大はとても難しくなっています。有権者に選挙の際に正しい判断をしてもらうため、ネットを使って正しい情報を提供し、支持を拡大しましょう。

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