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特集 2023年統一地方選挙

2023.01.12 選挙

2023年統一地方選挙を住民自治の強化に─多様性に基づく討議空間をつくり出す─

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(2)フォーラムとしての議会の構築の必要性
 こうした政治の状況(二つの意味での非政治化)の打開は、一朝一夕に実現できるものではない。創造的な発想と実践がその打開に貢献するであろう。根本には、様々な層での討議空間の創出が必要だと考えている。地域課題を争点として浮上させることができるし、政治を「自分事」として認識する契機になるからである。まずもって、三つの層、つまり〈議員─議員〉間、〈議会(議員)─首長等〉間(機関としての政策競争)、〈議会と首長等─住民〉間(議会、あるいは首長等によるタウンミーティングや意見交換会:住民は個別に発言する)、がすぐに想定できる。
 この三つの層のほかに、〈住民─住民〉間の討議の層(〈議会や首長等─住民〉間の討議では概して住民は個別に提言はするものの、そこから論点を明確にしたり合意を形成することはしない)がある。また、住民、議員、首長等の三者による討議の層を想定している。まさに二者、あるいは三者による討議空間が想定できる(2)
 今日の縮小社会は、まさに住民、議員、首長等の三者による討議空間を要請する。縮小社会は、三者による総力戦で臨むことになる。前回の統一地方選挙の際に提起した論点と重なる。
 縮小社会に向かう時代が到来している。地方人口ビジョン・地方版総合戦略や公共施設等総合管理計画が各自治体で策定されている。縮小社会を意識した地域経営が求められている。拡大志向、社会資本の充実を目指した高度成長期とは全く異なる争点が浮上する。もちろん、保育園充実要望のような高度経済成長期と同様な分野もある。
 1960年代~70年代のシビル・ミニマムを再考することになる。拡大期のシビル・ミニマムは社会資本拡充運動によって実現に動き出した。それに対して、今日は、社会資本の削減を念頭にシビル・ミニマムの水準を確定することが課題となる。もともとシビル・ミニマムは討論(討議)の広場を伴っていた。今日のシビル・ミニマムはそれを引き継ぐとともに、協働も広がっている。これらを組み込みながらシビル・ミニマムの確定を行うことになる。そこで、議会がその確定に積極的にかかわる必要がある。そのためには、選挙の際にこのシビル・ミニマムが争点化される必要があり、住民自身がこのことを理解する契機にもなる。
 シビル・ミニマムの実現運動では、住民は積極的に議会・首長等に働きかけていたが、それが実現した際には、それ以上は民間に委ねられるために行政によるサービスの充実ではなく、私化し政治や行政に関心を示さなくなっていた。シビル・ミニマムの達成を目指した社会運動が活発な時代は、低下してきた投票率の上昇、あるいは横ばいを生じさせていた。しかし、それが達成されると投票率は再び低下した。今日の状況(投票率の低下と議員のなり手不足)は、まさにこの状況である。再び、シビル・ミニマムをめぐる討議空間を住民、議員、首長等によってつくり出す状況が生まれている。だからこそ、新シビル・ミニマムをめぐる討議空間の創出が必要なのである。
 シビル・ミニマムは、科学的な数値化によって導き出されるものではない。住民、議員・会派、首長等による討議を経た合意によって生み出されるものである。つまり、シビル・ミニマムは、討議による成果であり、マニフェストはその素材となる。
 なお、今日、環境問題が世界の争点になっている。地域からこの問題に答える必要がある。新シビル・ミニマムは、この論点も含み込んでいる。

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