2023.01.12 政策研究
第13回 政策(総合計画・総合計画条例)と議会・議員
総合計画条例の内容は多岐にわたる、総合計画条例の規定は自治基本条例・議会基本条例と重複する部分がある、審議会の人選・議事録作成における考慮事項(留意点)
武蔵野市や栗山町などの総合計画条例を見ると、内容が豊富であることが確認できる。その内容は、条例の有無、計画年数、政策の根拠、首長執行義務、市民の参加、審議会の設置、最上位計画、分かりやすさ・入手しやすさ・総合計画に基づく予算・見直し・事業進捗管理、議決事件化、定義・構成と幅広い。これらの項目は、①政策の根拠としての条項、②総合計画の計画年数や構成等を定める条項、③計画の策定過程・実施過程・評価過程を定める条項、④総合計画を議決する根拠としての条項、⑤総合計画を最上位計画として位置付ける条項、という五つに大別することができる。これら①~⑤の内容は、総合計画条例の先駆自治体においては栗山町の事例が典型であるように、自治基本条例や議会基本条例において先行的に規定されている内容が、繰り返し規定されていたり、先行する条例の内容を具体化して規定している。ただし、自治体により、総合計画条例に位置付けられている内容に相違が見られる(田中2018b:43-45)。
なお、「審議会の設置」については、審議会の「人選」について、表2に示すような点を考慮する必要がある。そうすることで、新しい知恵が生まれる。
出典:筆者作成
表2 審議会の人選についての考慮事項(留意点)
また、審議会の議事録作成に当たり、事務局が作成した議事録に留意することが求められる。議事録は適正に作成されることが求められるが、議事録作成者は、悪意(知っている・忖度(そんたく))であるか善意(知らない・錯誤)であるかを別にして間違いうるからである。議事録は、間違ったままで記録されると、事後に謬(びゅう)をもたらす。
総合計画に関する条例(非総合計画条例と総合計画条例)、自治体の自律希求性
自治体によっては、総合計画に関する条例(=非総合計画条例)が、2011年地方自治法の改正により制定根拠を失った基本構想を議決事件として位置付け、総合計画の最上位性(総合計画の他の計画に対する優位性)を明示したにとどまる規定となっている。このような条例であれば、従来からの取組みを条例で示したにとどまる。条例化することには、これまでの取組みを担保する、永続化するという大きな意義があるものの、従来よりも自律自治体に近づこうとする取組みを目指していることが明示的であるとは言い難い。
一方、前述のように武蔵野市や栗山町の総合計画に関する条例(=総合計画条例)においては、多岐にわたる規定が見られる。特に、栗山町の総合計画条例の内容の豊富さは際立っている。このような条例を制定することは、自治体の自律希求性を示しているといいうる。そして、このような総合計画条例は、自治体の自律希求性を担保する。これらのことは、総合計画条例が自治体を、自律性を強く希求する自治体とそれ以外の自治体に二分することを示している(田中 2018b:45-46)。