2023.01.12 政策研究
第13回 政策(総合計画・総合計画条例)と議会・議員
栗山町における三つの条例(議会基本条例、自治基本条例、総合計画条例)の関係
議会先行(主導)の総合計画条例としては、「栗山町総合計画の策定と運用に関する条例」を挙げることができる。栗山町議会は、2010年2月から総合計画条例の成立に向けて取り組み、「総合計画条例案」を作成し行政を動かした。そして、栗山町の総合計画条例(栗山町総合計画の策定と運用に関する条例)は、2013年3月に制定されている(田中 2018b:37-38)。
2006年に制定された栗山町議会基本条例、2013年に同一議会で制定された栗山町自治基本条例と栗山町総合計画条例は、栗山町において、①議会基本条例、自治基本条例、総合計画条例という三つの条例が互いの持つ役割(機能)を補完していること、②総合計画条例が自治基本条例や議会基本条例の内容を具体化し規定していること、③総合計画条例、自治基本条例、議会基本条例という三つの条例間において一部、同一内容の規定が存在することが確認できる(田中 2018b:39)。
栗山町における三つの条例(議会基本条例・自治基本条例・総合計画条例)における類似点と相違点
では、栗山町で制定された議会基本条例、自治基本条例、総合計画条例という三つの条例における類似点と相違点は、どのようなものであろうか。類似点としては、第1に、三つの条例ともに自主条例であるということである。このことは、国から自治体への財源措置というインセンティブを伴いながら自治体において策定が進められた公共施設等総合管理計画や地方版人口ビジョン・総合戦略のように国から自治体への強い要請があるわけでもない。その意味では、条例の存否やその内容に当該自治体の自律希求性が表出することになる。第2に、三つの条例のいずれにおいても罰則規定がないということである。このことは強制力の一つの要素が欠けることになる。そのため、条例の運用に当たっては、多様なアクターによる定期的な検証の仕組みの存在と実践の必要性が高まる(より必要となる)(田中 2018b:39)。
相違点としては、三つの条例における条項の具体性の差を挙げることができる。総合計画に関する栗山町総合計画条例の内容は、自治基本条例の内容よりも広範かつ具体である。議会基本条例における総合計画についての規定は限られている。栗山町において総合計画条例は、自治基本条例や議会基本条例と役割分担しながら、より詳細な規定を置くことで、自治基本条例や議会基本条例の規定する意味をより明確化し、町民をはじめとする自治体関係者に理解しやすいものとする役割を果たしている(田中 2018b:43)。