選挙プランナー 三浦博史
次の統一地方選が迫ってきたが、最近の選挙事情は、以前、紹介した(「ポストコロナ、ウィズコロナ時代の選挙戦」2020年10月12日号)ときより、少しずつ元の選挙風景に戻りつつある。
今回は、コロナ禍で変わった選挙戦術を含め、最新の選挙事情・必勝法を紹介する。
コロナ禍で変わった選挙戦
世界的に猛威を振るった「新型コロナウイルス感染症」により、民主主義の根幹である選挙や国民投票は、感染拡大防止のため一部の国や地域で延期されたものの、アメリカ大統領選をはじめ、我が国の各種選挙も予定どおり行われ、大きな混乱はほとんど見られなかった。
とはいえ、選挙戦術は大きな変化を強いられた。その一例が、選挙の基本中の基本である「握手」が、少しでも接触を控える意味から「グータッチ」になり、告示日の「出陣式」や「第一声」でも動員はかけるものの全員マスク着用で、一切声を出さないものとなった。選対会議も、従前の集合型から一部はオンライン型へと、地域や選挙の種別による温度差はあったにしても、数多くの変更を余儀なくされた。
今もなお、世界中で新型コロナウイルスのオミクロン株が拡大し、感染者が発生している。しかし、欧米各国では既に新型コロナウイルス感染症対策の規制撤廃・緩和の動きが加速し、我が国でも、外国人観光客等の入国制限、水際対策の大幅緩和、さらには、観光需要喚起のため「全国旅行支援」もスタートするなど、徐々にではあるが緩和の動きが始まっている。
それにより、我が国の選挙事情も以前の姿に戻りつつある。衆院選や参院選で見られた「グータッチ」や、出陣式・第一声での人数制限から、今では候補者自身がマスクを外して演説したり、支援者と握手を交わしたりという選挙風景に戻りつつある。
いずれ、この新型コロナウイルス感染症が過去のものとなったときには、おそらく「握手」をはじめとする多くの戦術は、完全に元に戻るものと思われるが、個人演説会や決起大会等、人の動員を要するイベントや、ミーティング等は減少し、コロナ禍を経て得られた新しい戦術であるDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用したものは、今後も比重を増していくと思われる。