2022.12.26 議会改革
第34回 議員定数の問題にどう臨むか
もっとも、現実には、議会の構成に偏りが生じていることについては、本連載でもしばしば指摘したところであり、また、投票率の低下や無投票当選の増加といった問題も抱えており、極端な大選挙区となる市議会選挙では大人数の中から誰を選んでよいのか分からないといった状況なども生じている。
議員数が少ない場合には、民意の代表・反映機能の低下につながりかねないことが指摘されるが、その機能の確保のためにはどのくらいの数が必要なのか、何らかの基準があるわけでない。そもそも、それぞれの議員は何を代表しているのかも明らかではなく、都道府県議員だけでなく、市町村議員も地域性がいわれることもある一方、住民全体の代表といわれることもある。議会の審議への民意の反映についても、議員数にかかわらずしばしばその不十分さが指摘されており、民意の反映ということでは、住民参加の促進による補完ということも語られ、実際にその点からの改革も進められている。
ただし、議員のなり手の問題はあるにしても、定数の減少が選挙に強い特定の者や層への議員の固定化につながるようなことは望ましくなく、議会の構成の多様性という視点も必要といえるだろう。
議員定数の削減論については、住民の議会に対する不信や理解不足などもあるといわれ、必要な議員数の確保のためには、議会に対する理解を高めるようにしていく努力も求められる。
いずれにしても、議員定数については、単なる数の問題ではなく、自治体議会の基本的なあり方として総合的に検討していく必要がある一方で、何か決め手があるわけではなく、正解のない問題といえる。実際には、横並び意識などもあって同規模の自治体の動向をにらむことが少なくないようだが、それぞれの自治体において、議会だけでなく、住民も巻き込んで自治体全体として、しっかりと考えていくべきというほかない。
なお、議員定数については、奇数の方が多いともいわれるが、偶数のところも少なくない。それぞれの自治体での判断となるが、偶数の場合には、仮に勢力が拮抗(きっこう)したときには、議長をとった方が少数となるといった問題があり、実際に、議長ポストの押し付け合いとなり、議長がなかなか決まらないといった事例も見受けられる。どこまで気にするかという問題ではあるものの、そのような事態を避けるために奇数を採用するところもあるようだ。