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2022.12.26 議会改革

第34回 議員定数の問題にどう臨むか

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 そしてその上で、同条8項(18)で、各選挙区において選挙すべき議員の数は、人口に比例して、条例で定めなければならないものとされているものだ。人口比例の原則は、指定都市以外の市町村が条例で選挙区を設ける場合にも、適用がある。
 この人口比例は、憲法の投票価値の平等の要請に基づくものであり、この点、最高裁も、東京都議会選挙に関する最判昭和59年5月17日民集38巻7号721頁などで、自治体議会の議員の選挙に関し、当該自治体の住民が選挙権行使の資格において平等に取り扱われるべきであるにとどまらず、その選挙権の内容、すなわち投票価値においても平等に取り扱われるべきであることは、憲法の要求するところであり(19)、公職選挙法の規定は、憲法の要請を受け、議会の議員の定数配分につき、人口比例を最も重要かつ基本的な基準とし、各選挙人の投票価値が平等であるべきことを強く要求しているとする。
 もっとも、その一方で、最高裁は、国会議員の選挙についてではあるが、投票価値の平等は、選挙制度の仕組みの決定において、唯一・絶対の基準となるものではなく、正当に考慮できる他の政策的目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきものとの考え方も示している。そして、公職選挙法は、選挙区を設ける場合においては、行政区画、衆議院選挙の小選挙区、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならないとしているほか、15条8項のただし書において、特別の事情があるときは、おおむね人口を基準とし、地域間の均衡を考慮して定めることができるとする。さらにそれに加え、都道府県議会の議員の選挙区の特例として、同法271条は、昭和41(1966)年1月1日現在において設けられている都道府県の議会の議員の選挙区については、当該区域の人口が議員1人当たりの人口の半数に達しなくなった場合においても、当分の間、当該区域をもって一選挙区を設けることができるとしている。
 人口比例の例外となる15条8項ただし書は、1969年の改正により設けられたものであり、人口の都市集中などの状況を踏まえ、それぞれの地域の代表をその実情に応じて確保できるようにしたものとされる(20)。また、271条の特例選挙区については、当初は島しょ部を対象としたものであったが、1950年代半ばごろから1960年代にかけての急激な社会変化による都市への過度な人口集中という一時的現象に対応するためとして、単に画一的に人口の要素のみによって選挙区制を考えるべきではないとの考え方から、1966年の改正により、当分の間の措置として例外が広げられたものだ。
 議員の選出の単位ともなる選挙区は、選挙人団の区分であり、近代選挙においては、選挙人の居住する地域をその構成の基礎とするのが通例であり、その場合に、行政区画、地勢、交通などを考慮することは恣意的な設定を防ぐことにもつながるものであるが、人口比例との調和をどう図るかが問題となる。
 公職選挙法は、選挙区の単位として、市の区域と隣接町村の区域を規定し、議員1人当たりの人口の半数に満たない場合の強制合区について定めているが、この仕組みの下では選挙区間に1対3程度の較差が生じうることになり、それをどう評価するかも問題となりうる(21)
 

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