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2022.12.13 政策研究

第12回 政策(自治基本条例)と機能・意志・目的・活用法

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「情報公開(情報共有)」、「参加」、「公文書管理」制度の不十分な運用、職員の意識改革、「首長及び首長周辺職員主導」のシステム再構築、議会は?

 「情報公開(情報共有)」、「参加」、「公文書管理」の運用が不十分であれば、前節に述べたように適正な制御(監視)はなしえない。それを避けるためには、どうすればいいのだろうか。
 国についての議論であるが、新藤宗幸は次のように述べている。政権のいう政治主導は、伝統的な各省官僚機構の分立体制を克服し、執政部である内閣の政治主導を確立するため必要である。だが、内閣官房・内閣府の権限と組織の拡大、内閣人事局の設置による官僚制幹部の人事権の掌握に結びついている。こうした体制は、「官邸官僚」、官邸の意を忖度(そんたく)することに関心を注ぐ各省官僚幹部、それに「面従腹背」する官僚、さらには官僚制幹部の指示に苦悩しつつも従わざるをえない職員といった、幾重もの「亀裂」を行政組織に生み出しているのではないか。官僚のモラル(倫理)とモラール(士気)に多大な影響をもたらし、公文書の改ざんのみならず行政の基礎となるデータの取扱いにもネガティブな影響をもたらしているのではないかという(新藤 2019:29-30)。そして、民主主義が制度とエートス(精神構造)の両面において官僚制組織内に確立されていないならば、官僚制内部の恣意的な行動にブレーキは利かない。ひいては、公共的問題の解決が市民の尊厳を重視して民主的に果たされるはずがないという(新藤 2019:41)。
 このことは、自治体政府の(首長・)職員にも当てはまるであろう。なぜなら、自治体政府にも「(首長及び)首長周辺幹部」、「(首長及び)首長周辺職員の意を忖度することに関心を注ぐ各部局幹部」、「それに面従腹背する職員」、「さらには官僚制幹部の指示に苦悩しつつも従わざるをえない職員」といった、多様な職員が存在するからである。したがって、これらの多様な職員のモラル(倫理)とモラール(士気)を高めるためには、やはり民主主義が制度(「情報公開(情報共有)」、「参加」、「公文書管理」)とエートス(精神構造)の両面において職員組織(行政)内に確立されていることが求められるといえよう。
 また、文書を作成する(した)ものが、公文書管理や情報公開の妥当性を判断することは、いかがなものであろうか。このことを含め「情報公開(情報共有)」、「参加」、「公文書管理」とエートス(精神構造)について、議会(議長・議員)も再考する必要がある。
 なお、非常時(緊急事態)でも文書は求められる。非常時でも文書を作成できる工夫、文書を共有することが大切である。そのためには、「公文書管理」を適正に平常時から行っていることが肝要である。

自治基本条例(や関連条例)の地図・灯台としての機能

 地図(航海図・航空図)のないところに地図を描ければ安心できる。地図があれば、一時的に迷っても元の道に戻りやすい。自治基本条例(や関連条例)も大切な地図ととらえることができる。そして、地図には変更が必要なときがあるように、自治基本条例(や関連条例)も改正が求められることがある。
 自治基本条例や関連条例の改正は、条例の未完成さ(限界)を自覚し、条例を多様な視点で常に見直すことで可能となりうる。条例は、制定した時点でも既に未完であり、そのまま何もしないでいれば時間の経過とともに、本来求められる条例とは内容が乖離(かいり)する。それを避けるためには、多様な視点で常に見直すことが必要である。他の自治体における自治基本条例(や関連条例)は、自分の自治体にとっても地図であり灯台となりうる。地図があると自らの自治体の位置が分かる。
 なお、自治基本条例(や関連条例)は、効果を上げれば認知度が向上し一層使われやすくなる。

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