地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2022.12.13 政策研究

第12回 政策(自治基本条例)と機能・意志・目的・活用法

LINEで送る

パブリック・コメント手続条例・市民投票条例とダイバーシティの視点

 自治基本条例には、パブリック・コメント手続や市民投票に関する規定を定めているものも少なくない。パブリック・コメント手続は、案について賛成・反対の意見を求めることもあるが、それだけではなく多様な意見を得ることに主眼の置かれた手法であり、賛成・反対の数で案件の賛否を判断する制度ではない。そのため、パブリック・コメント手続では、意見提出者を当該自治体の市民に限ることは好ましくない。意見提出者は、「何人」若しくは、少なくとも表2に掲げたものとするなど広くすることが求められる。また、パブリック・コメント手続については、少なくとも2回(「構想・大綱レベル」と「最終・条文レベル」)は、パブリック・コメント手続案件の説明会などと一緒に行うことが求められる。もちろん、案件の内容をつくり始める前段階での説明会やワークショップが、2回のパブリック・コメント手続の前提として必要なことはいうまでもない。
 なお、パブリック・コメント手続の実施機関は執行機関が多く、議会が含まれていない場合が多いのではなかろうか。今、パブリック・コメント手続についての条例化と議会がパブリック・コメント手続の実施機関になることが期待される。
2

出典:筆者作成
表2 パブリック・コメント手続における意見提出者の例(狭義の場合)

 市民投票については、例えば、投票率が50%未満の場合は開票しないという規定を置いている条例もあるが、そのような規定は好ましくないのではないか。その理由としては、①投票時点の市民の意思が分からなくなる、②投票後、投票に行った者のモチベーションが低下する、③投票前、投票者のモチベーションが低下する、④通常の選挙ではこのような規定はなく、選挙とパブリック・コメント手続の間で大きなアンバランスが生じる、ということが考えられる。また、市民投票については、表3に示すように、案件によっては一つの自治体の市民だけでは関係者をカバーしきれず、適正な市民投票を行うことができない場合がある。
3

出典:筆者作成
表3 投票が一つの自治体の市民に「限られても不都合が生じない案件」と「限られると不都合が生ずる案件」の例

「情報公開(情報共有)」、「参加」、「公文書管理」の制度は不可分一体

 「情報公開(情報共有)」、「参加」、「公文書管理」の制度は不可分一体のものである。それぞれの制度ないし運用のどこかが不十分であれば、二元代表制のもとにおける議会と首長(行政)における適正な相互制御(監視)、そして市民による議会や首長(行政)の制御(監視)は機能しなくなる。例えば、記録が残っていなければ、情報の公開請求をしても情報不存在となってしまい、請求者の目的は達せられず制御(監視)は機能しなくなる。
 また、文書がないと、行政内部でも時間がたつに従って、結果に至る経緯や結果の理由が分からなくなってしまう。「公文書管理」の制度は、そのためにも必要である。特に、自治基本条例(・議会基本条例や総合計画)は、自治体の根幹を定めるものである。その制定(策定)・改廃時の議論・参考資料も含めて公文書として保管・公表することも不可欠である。そうすることで、市民と自治体政府(議会・行政)を含めた自治体の取組状況が評価できる。

この記事の著者

編集 者

今日は何の日?

2025年 616

新潟地震(震度6)起こる(昭和39年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る