政策ビラ(マニフェスト)を活用し有権者と向き合う姿勢を
政策ビラはこれまでのチラシと同じものをつくるだけではいけない。ここで大切なのは、有権者と向き合う姿勢である。この政策ビラで「誰に」、「何を」、「いつ」、「どのように」、伝えるか。もちろん候補者の人柄を伝えることも最低限、必要である。しかしながら、「選挙で有権者が適正な判断を行い、投票行動に生かすこと」を目的とする政策ビラ解禁の趣旨に鑑みると、自分が伝えたいことを書くだけでは興味を示されないだろう。より多くの支持を集めようとすれば、あなたが投げかける政策は「その人」の共感を得るものでなければならない。
有権者の選挙への関心は、告示日と投票日前日・当日という二つの山をピークに高まる。最適なタイミングで有権者が知りたい情報を届けることができれば、多くの有権者にとってよりよい投票行動につながるだろう。
スタートは選挙におけるマニフェストの提示
今回の統一地方選挙で本来問われてくるのは、「議会機能の発揮ができたか/どうしたら機能発揮できるか」、「有権者と向き合う姿勢を議会活動や成果につなげられたか/つなげるにはどうすればいいか」という点であろう。
変化は起きている。一方、政治や行政の変化対応が完全に遅れているといわざるを得ない。コロナ禍や緊急事態に際して機能を維持する準備ができているか。有権者が求める政策情報を届けられているか。世間の常識が変わる中で、議会の常識をアップデートしていかなければならない。
さらに従来の選挙活動の常識を覆す状況も生まれてきている。茨城県つくば市ではごみ拾いを主な活動とした候補者が当選した。国政選挙で、かつ賛否もあるが、参政党のネット選挙が一定の成果を出したことは認めざるを得ないだろう。
今までの常識どおりに「どうせ政策で選ばれない」と、住民に対して目指す姿や政策を伝えることを怠っていた候補者がいるとすれば、すぐに襟を正した方がいい。有権者は選挙での政策提示や政策ビラの内容を通じて、その候補者が信頼に足るか、実行力を持っているかを見定めている。
中央集権下で監視機能のみに貶(おとし)められていた地方議会は、地方創生時代には条例制定機能による民意の反映と地域課題の解決も可能になっている。そのスタートは、選挙におけるマニフェストの提示だ。有権者の立ち位置に立ち、選挙を通じて議会・議員の機能を果たしていこうという思いを持つ候補者にとっては、大きなチャンスとなるだろう。
コロナ禍を契機に、地方議会の文化を変え、地域から国を変えていくうねりが起こることを期待したい。
また、2015年から開始したマニフェストスイッチプロジェクトは、「選挙において有権者が適正な判断を行い、投票行動に生かす」ための後押しとして引き続き取り組みたい。
≫ マニフェストスイッチプロジェクト http://www.manifestojapan.com/