問われるのは議員活動の実績だけではない
この3年間の経験を経て、地方議会には大きな変化が求められている。緊急時に議会機能をどう維持するのか。議員活動だけでなく、二元代表の一翼を担う「チーム議会」として活動できているか。議員同士の議論・討議の場はあるか。住民の意見やニーズを議会としての政策提案につなげる制度があるか。ICTにより効果的・効率的な議会運営がなされているか。議員だけではなく、議会事務局が議会運営に携われているか。議会改革を「議会の中だけの改革」にとどめず、地域・住民成果へつなげられているのか。
さらに、SDGsの考え方や議員のなり手不足を背景に、「議会への多様な参画」も問われている。女性、障がいのある方、LGBTQ、若手・中堅世代が議員に立候補するかだけではなく、正式な会議の場へ市民が議会へ声を届ける機会があるか。議会として学校や地域などシティズンシップを醸成する機会を設けているか。団体自治から住民自治へ向かう運動が住民の間に巻き起こっているか。
11月に開催した第17回マニフェスト大賞「議会改革賞」には、多くの先進議会が登場した。岩手県奥州市議会は2022年、議長マニフェストにおいて「チーム奥州市議会」として議員・事務局職員・市民で取り組む決意を表明した。そのほか、「議会活動の『見える化』」をキーワードに、3項目の基本的な考え、5項目の「重点項目」を提示し、具体的な改革項目を4年間の工程表で明示した。宮城県柴田町議会は議会基本条例に基づき2年ごとに活動検証を議会運営委員会で実施。第三者である議会アドバイザーの評価・検証に基づいてさらに2年ごとに取り組む項目を「議会行動計画」に定めて活動を進めている。正副議長に女性が就任し、自由討議にワールドカフェを活用するなど注目点は多数ある。そのほか、先進議会として名高い福島県会津若松市議会や北海道芽室町議会、登別市議会も受賞した。地方議会のオンライン化については、茨城県取手市議会や滋賀県大津市議会の挑戦が参考になるだろう。
次回の統一地方選挙、特に現職議員は、議員としての活動実績だけではなく、「チーム議会としての活動ができたか」、「議会機能をどれだけ高められたか」、「多様な参画をどれだけ促せたか」という議会活動の評価も問われてくるべきだと考える。