2022.11.25 議会改革
第33回 国等の政策にコミットする
3 地方六団体
地方自治体の長・議会議長は、それぞれ全国的な連合組織をつくっており、それが、全国知事会、全国都道府県議会議長会、全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会、全国町村議会議長会のいわゆる地方六団体であることはいうまでもない。これらについては、地方自治法263条の3に法律上の根拠が設けられているが、全国的な連合組織の地方自治法上の位置付けは、1963年の地方自治法改正によるものである。なお、地方六団体は、法人格をもつものではなく、権利能力のない社団という位置付けとなっている。
長と議会の議長は、これらの団体を通じて、相互間の連絡調整を行い、共通の問題について協議し、処理するための活動を行うほか、地方自治にかかわる政策や制度の調査研究を行い、本稿2で述べた方法により、国に対して意見を申し出たり、国政にかかわったりしている。広く地方自治にかかわる国政問題について、個々の自治体が参加することは現実的ではないことなどから、地方六団体がそれぞれを代表して参加する仕組みが整えられてきたものであり、地方六団体が共同して地方自治法上の意見を申出・提出することも可能とされている。 もっとも、同じ地方の連合組織とはいえ、都道府県・市・町村によって、あるいは長の側か議会の側かによって、さらには人口の多い都市部の自治体か人口減少が進む地方の自治体かによっても、利害が異なることも少なくない。常に地方の意見を一つにまとめ上げることが求められるわけではないとしても、地方六団体が地方の意見を集約して国政に反映させることができるのか微妙な場合もないわけではなく、地方六団体の間での意見の対立が表面化することもある。また、それぞれの団体においても、構成自治体間の意見の集約が容易ではない場合もあり、団体として決定した事項について、構成自治体の機関に強制する権限もなければ、構成自治体の機関が従う法的な義務があるわけでもない。
地方六団体が、内閣に対する意見具申権及び国会に対する意見書提出権の規定に基づき意見を提出したのは、今のところ、地方六団体共同による1994年の「地方分権の推進に関する意見書─新時代の地方自治─」と2006年の「地方分権の推進に関する意見書(豊かな自治と新しい国のかたちを求めて)」の2回だけのようだ。
また、地方六団体が内閣に対し意見の申出ができるよう、自治体に対し新たな事務や負担を義務付ける施策を立案する場合の情報提供についても、地方自治法でこれが規定された2006年に、総務省自治行政局から各府省官房長宛てに協力依頼の通知が出されているほか、2008年にも、地方六団体の要請を受けた通知、2020年にも、国と地方の協議の場で地方六団体からの問題提起を受けての総務省による各府省に対する注意喚起が行われている。